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オフィスの原状回復費用の相場|坪単価・シミュレーション・削減方法を徹底解説【2026年版】

Growth Office編集部
オフィスの原状回復費用の相場|坪単価・シミュレーション・削減方法を徹底解説【2026年版】

オフィスの退去時に必ず発生する「原状回復」。その費用は、オフィスの規模や立地、使用状況によって大きく変動し、想定以上の金額を請求されるケースも少なくありません。

オフィス原状回復の費用相場は、小規模オフィス(〜30坪)で坪単価2〜5万円、中規模(30〜100坪)で5〜8万円、大規模(100坪〜)で8〜12万円が目安です。30坪のオフィスであれば60〜150万円、100坪なら500〜800万円程度が一般的な金額感になります。

この記事では、オフィス原状回復の定義・範囲から、面積別の費用早見表、30坪オフィスの費用シミュレーション、費用を抑える具体的な方法、そしてセットアップオフィスを活用した原状回復費の大幅削減まで、2026年の最新情報をもとに網羅的に解説します。

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原状回復とは?定義と目的

原状回復とは、賃借人(テナント)がオフィスを退去する際に、入居時の状態に戻して貸主(オーナー)に返還することを指します。

原状回復の法的根拠

原状回復義務の法的根拠は、民法第621条に定められています。2020年4月に施行された改正民法では、「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う」と明記されています。

ただし、同条では「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」については原状回復義務の対象外とされています。これは住宅賃貸におけるルールですが、オフィス・事業用物件の場合は契約書(特約)の内容が優先されるため、注意が必要です。

実際の判例(最高裁判所平成17年12月16日判決)でも、「事業用建物の賃貸借においては、通常損耗についても賃借人の負担とする特約は、その内容が明確に合意されている限り有効」との判断が示されています。つまり、オフィスの賃貸借契約で「通常損耗・経年劣化も含めて原状回復する」と明記されていれば、テナントはその範囲で原状回復義務を負うことになります。

「原状回復」と「現状回復」の違い

よくある間違いとして、「原状回復」を「現状回復」と書くケースがあります。正しくは「原状回復」(げんじょうかいふく)です。

「原状」とは「もともとの状態」を意味し、賃借物を借りた時点の状態に戻すことを指します。一方「現状」は「今の状態」という意味であり、全く異なる概念です。契約書や見積書で「現状回復」と記載されている場合は、誤記の可能性が高いため確認しましょう。

住宅とオフィスの原状回復の違い

住宅の原状回復では、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が適用され、経年劣化や通常損耗は貸主負担とされています。しかし、オフィス・事業用物件では、このガイドラインは原則として適用されません

オフィスの場合、テナントの使用方法が多種多様で、内装の変更や設備の追加が行われるケースがほとんどです。そのため、賃貸借契約書に「借主がスケルトン状態に戻す」といった特約が設けられることが一般的であり、経年劣化も含めてテナント側が原状回復費用を負担することになります。

比較項目住宅オフィス・事業用物件
ガイドライン国交省ガイドラインが適用原則適用なし(契約書が優先)
経年劣化貸主負担借主負担が一般的
通常損耗貸主負担借主負担が一般的
原状回復の範囲入居時の状態に戻すスケルトン状態に戻すケースが多い
工事業者の選定自由に選べることが多いビル指定業者が多い

原状回復の目的

原状回復の目的は、次のテナントがスムーズに入居できる状態にオフィスを戻すことです。ビルオーナーにとっては物件の資産価値を維持するために不可欠であり、次のテナントの内装工事期間を短縮することで、空室期間の最小化にもつながります。

テナント側にとっても、契約で定められた原状回復義務を適切に履行することで、敷金(保証金)からの不当な控除を防ぎ、退去後のトラブルを回避することができます。

A工事・B工事・C工事の違い

オフィスビルの工事は、費用負担者と業者選定権によって「A工事」「B工事」「C工事」の3つに分類されます。原状回復工事の範囲と費用を正確に把握するためには、この区分の理解が不可欠です。

区分費用負担業者選定具体例
A工事ビルオーナービルオーナービルの構造体、共用部の設備更新、外壁修繕など
B工事テナントビルオーナー(指定業者)防災設備、空調の増設・移設、電気容量の変更など
C工事テナントテナント間仕切り壁、内装仕上げ、家具・什器の設置など

特に注意が必要なのがB工事です。B工事はテナントが費用を負担するにもかかわらず、業者はビルオーナーが指定するため、テナント側で価格交渉の余地が限られます。原状回復の見積もりにB工事が含まれている場合は、A工事として扱うべき項目が紛れ込んでいないかを慎重に確認してください。

たとえば、ビルの防災設備の更新や共用部分の修繕がB工事として計上されていた場合、本来はA工事(ビルオーナー負担)であるべきものがテナント負担にされている可能性があります。

オフィス原状回復の範囲は?

オフィスの原状回復の範囲は、賃貸借契約書の記載内容によって決まります。一般的な原状回復の範囲を、以下の3つに分類して解説します。

内装・造作の撤去

入居時にテナントが設置した内装や造作物はすべて撤去し、スケルトン(コンクリートむき出し)状態に戻す必要があります。

  • 間仕切り壁・パーティションの撤去
  • 会議室やサーバールームなどの造作の解体
  • 床材(タイルカーペット・フローリング等)の撤去
  • 天井材の撤去・復旧
  • 壁紙・クロスの張り替え
  • 受付カウンターや棚などの造作家具の撤去
  • ブラインドやカーテンの撤去(テナント設置分)

設備の撤去・復旧

テナントが追加・変更した設備関連も、入居前の状態に戻す必要があります。

  • 電気設備(コンセント増設分の撤去、照明器具の交換)
  • 空調設備(増設分の撤去、既設分の清掃・メンテナンス)
  • 給排水設備(ミニキッチンや給茶機の撤去・配管復旧)
  • 通信設備(LAN配線・電話配線の撤去)
  • セキュリティ設備(入退室管理システム・防犯カメラの撤去)
  • 看板・サインの撤去

クリーニング・補修

内装や設備の撤去後、以下のクリーニング・補修作業が必要になります。

  • 床面の清掃・ワックスがけ
  • 壁面・天井面の汚れ除去・補修
  • 窓ガラスの清掃
  • エアコンの分解洗浄
  • 水回り(トイレ・給湯室)の清掃
  • 共用部分の汚損箇所の補修(契約による)

注意点:契約書に「B工事」(ビル側の指定業者による工事)と記載されている項目は、テナントが費用を負担するものの、工事はビル指定の業者が行います。B工事は一般的に相場より割高になるため、契約時にB工事の範囲を確認しておくことが重要です。

スケルトン返しと事務所仕上げ返しの違い

原状回復の範囲で最も大きな違いを生むのが、「スケルトン返し」か「事務所仕上げ返し」かという点です。

スケルトン返しとは、天井・壁・床の仕上げ材をすべて撤去し、コンクリートむき出しの状態に戻す方法です。テナントが入居時にスケルトン状態から内装を施した場合は、原則としてスケルトンに戻す必要があります。解体作業と廃棄物処理が大量に発生するため、費用は高額になります。

事務所仕上げ返しとは、ビルの標準的なオフィス仕上げの状態に戻す方法です。具体的には、天井はボード仕上げ+塗装、壁はクロス張り、床はタイルカーペット敷きといった状態です。入居時に事務所仕上げの状態で引き渡しを受けた場合は、同等の仕上げ状態に戻します。

比較項目スケルトン返し事務所仕上げ返し
仕上がりの状態コンクリートむき出し壁・床・天井が標準仕上げ済み
費用の目安(坪単価)5〜12万円/坪2〜5万円/坪
工事期間長い(解体+処分が多い)比較的短い
該当するケース入居時にスケルトンから内装を施工した場合入居時に事務所仕上げ状態で引渡しを受けた場合

どちらの方法で原状回復するかは、賃貸借契約書に記載されている「引渡し時の状態」で決まります。契約書に「スケルトン渡し」と記載されていれば退去時もスケルトン返し、「事務所仕上げ渡し」であれば事務所仕上げ返しが基本です。契約前に必ず確認しておきましょう。

原状回復の範囲に含まれないもの

以下の項目は、一般的に原状回復の範囲に含まれません(ただし、契約書で特段の定めがある場合はその内容に従います)。

  • ビルの構造体に関わる部分:柱・梁・外壁・屋上などの構造体の修繕はA工事としてビルオーナーの負担
  • 共用部分の修繕:エレベーター・廊下・トイレ(共用)などの修繕費用
  • ビル全体の設備更新:給排水本管・受変電設備・非常用発電機などの大規模設備
  • 自然災害による損傷:地震・台風などの自然災害が原因の損傷は、テナントの責任範囲外

オフィスの原状回復の相場【坪単価と面積別早見表】

オフィス原状回復の費用は、オフィスの面積、ビルのグレード、内装の状態などによって大きく異なります。ここでは坪単価の目安と面積別の費用早見表を紹介します。

坪単価の目安

オフィス原状回復費用の坪単価の目安は以下のとおりです。

オフィス規模面積の目安坪単価の目安主な特徴
小規模オフィス〜30坪2〜5万円/坪内装変更が少なく、作業範囲が限定的
中規模オフィス30〜100坪5〜8万円/坪間仕切りや造作が多く、工事範囲が広い
大規模オフィス100坪〜8〜12万円/坪設備撤去や大規模な解体工事が必要

上記はあくまで目安であり、ビル指定業者の見積もりが相場より高いケースも珍しくありません。後述する「費用を抑える方法」で、適正価格で工事を行うためのポイントを解説します。

面積別の費用早見表

具体的な面積ごとの原状回復費用の目安は以下のとおりです。

オフィス面積想定従業員数費用目安(低め)費用目安(標準)費用目安(高め)
10坪〜5人20万円35万円50万円
20坪〜10人40万円80万円100万円
30坪〜15人60万円150万円250万円
50坪〜25人150万円300万円400万円
80坪〜40人320万円520万円640万円
100坪〜50人500万円700万円800万円
150坪〜75人900万円1,125万円1,350万円
200坪〜100人1,200万円1,600万円2,000万円
300坪〜150人2,100万円2,550万円3,000万円
500坪〜250人4,000万円5,000万円6,000万円

※「低め」は内装変更が少ない場合の坪単価下限、「標準」は一般的な内装工事ありの場合、「高め」はグレードの高いビルや大幅な内装変更がある場合の目安です。

ポイント:費用早見表はあくまで概算です。実際の費用は、内装の変更度合い、ビルのグレード、指定業者の単価設定、工事時期(年度末は繁忙期で割高)などによって変動します。正確な費用を把握するためには、退去の6ヶ月前までに見積もりを取得することを推奨します。

30坪オフィスの原状回復費用シミュレーション

ここでは、東京都心部にある30坪のオフィスを退去する場合の原状回復費用を、具体的な工事項目ごとにシミュレーションします。

【想定条件】

  • 面積:30坪(約99㎡)
  • 入居期間:5年
  • 内装:会議室1室(軽鉄+ボード壁)、タイルカーペット敷き、壁紙クロス張り
  • 設備:コンセント5箇所増設、LAN配線工事済み
  • ビル指定業者なし(一般業者に依頼する場合)
工事項目単価目安30坪の場合の費用
間仕切り壁の撤去・処分1万〜2万円/㎡15〜30万円
タイルカーペット撤去・処分1,500〜3,000円/㎡15〜30万円
壁紙クロスの張り替え1,000〜1,500円/㎡15〜25万円
天井の塗装・補修1,000〜2,000円/㎡10〜20万円
電気設備の復旧(コンセント撤去等)5,000〜1万円/箇所3〜5万円
LAN・電話配線の撤去一式5〜10万円
エアコン分解洗浄2〜4万円/台6〜12万円
クリーニング200〜500円/㎡2〜5万円
廃棄物処理費一式5〜10万円
諸経費(養生・運搬・管理費)工事費の10〜15%8〜15万円

合計:約84〜162万円(坪単価 約2.8〜5.4万円/坪)

これが一般業者に依頼した場合の目安です。ビル指定業者の場合は、上記の1.5〜2倍程度の見積もりが出ることも珍しくありません。つまり、同じ30坪オフィスでも126〜324万円程度になる可能性があります。

このシミュレーションからも分かるように、業者選定と見積もり内容の精査が、原状回復費を大きく左右することがお分かりいただけるかと思います。

ビルグレード別の坪単価の違い

同じ面積のオフィスでも、ビルのグレードによって原状回復費用は大きく変わります。以下はビルグレード別の坪単価の目安です。

ビルグレード坪単価の目安特徴
Aグレード(大手デベロッパー系)8〜15万円/坪高品質な仕上げ材指定、厳格な施工基準、指定業者必須
Bグレード(中規模ビル)5〜10万円/坪標準的な仕上げ、指定業者ありの場合が多い
Cグレード(小規模ビル・雑居ビル)2〜5万円/坪仕上げの自由度が高い、業者選定の自由度が高い

Aグレードビルでは、使用する素材(高級タイルカーペット、吸音ボード天井など)の指定があったり、工事時間帯の制限(平日夜間・土日のみ等)があったりするため、工事費が高くなる傾向にあります。ビルのグレードによる費用差は、同じ面積でも2〜3倍の開きが出ることがあります。

エリア別の費用傾向

オフィスの所在地によっても原状回復費用は変わります。東京都心部(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)のオフィスは、以下の理由から郊外と比べて費用が高くなる傾向があります。

  • ビルのグレードが高い:都心部ほどAグレード・Bグレードのビルが多く、要求される仕上げ水準が高い
  • 工事の制約が多い:搬出入の時間制限、駐車スペースの確保、騒音規制などの条件が厳しい
  • 廃棄物処理費が高い:都心部は廃棄物の搬出ルートが限られるため、処理費が割高になる
  • 人件費が高い:都心部の施工業者は人件費が高い傾向がある

一般的に、都心5区の原状回復費用は、郊外(23区外・近県)と比較して20〜40%程度高くなることが多いです。

原状回復の費用に影響するポイント

原状回復費用は、以下の要素によって大きく変動します。各ポイントを理解しておくことで、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。

1. オフィスの面積

前述のとおり、面積が大きくなるほど坪単価も上がる傾向にあります。これは、大規模オフィスほど内装の造り込みが複雑で、大型設備の撤去や廃棄物処理の量が増えるためです。

一方で、10坪程度の小規模オフィスの場合、間仕切りや造作を入れていないケースも多く、クリーニングと壁紙張り替え程度で済むことも少なくありません。

2. 内装の変更度合い

入居時にどの程度内装を変更したかが、費用に最も大きく影響します。

  • 軽微な変更のみ(壁紙の張り替え、カーペット交換程度):坪単価2〜3万円
  • 中程度の変更(間仕切り壁の設置、一部造作あり):坪単価4〜6万円
  • 大幅な変更(フルレイアウト変更、給排水工事、床上げ等):坪単価7〜12万円

特に、給排水設備の移設やOAフロア(二重床)の撤去は高額になりやすい工事項目です。OAフロアの撤去だけでも坪あたり1〜3万円の追加費用が発生することがあります。

以下に、よくある内装変更とそれに伴う原状回復費用の目安を一覧でまとめます。

内装変更の内容原状回復時の費用目安備考
壁紙の張り替え1,000〜1,500円/㎡面積が広いと総額が大きくなる
タイルカーペットの交換1,500〜3,000円/㎡既存材の撤去・処分費を含む
間仕切り壁(LGS+PB)の設置1〜2万円/㎡(撤去時)壁1枚あたり10〜30万円程度
OAフロア(二重床)の設置1〜3万円/坪(撤去時)配線撤去費も別途発生
ミニキッチン・給茶室の設置20〜50万円(撤去・復旧)給排水配管の復旧が高額
セキュリティシステムの設置5〜20万円(撤去)配線撤去・ドア復旧を含む
サーバールームの構築30〜80万円(撤去・復旧)空調・電源・床の復旧が必要

入居時に内装変更を計画する段階で、「この工事を行うと退去時にいくらの原状回復費が発生するか」を概算しておくことで、入居〜退去のトータルコストを正確に把握できます。

3. ビルのグレード

ビルのグレードが高いほど、原状回復にも高い品質が求められます。Aグレードのオフィスビルでは、使用する素材や仕上げの水準が高く設定されており、工事費もそれに伴って上がります。

また、高グレードビルでは工事に際して厳しい施工基準(騒音規制、搬入時間の制限、養生の範囲など)が設けられていることが多く、工事期間が長期化する要因にもなります。

4. ビル指定業者の有無

多くのオフィスビルでは、原状回復工事をビルの「指定業者」に依頼することが契約で義務付けられています。指定業者は競争原理が働かないため、一般的な相場より20〜50%程度割高になるケースが多いとされています。

後述する「費用を抑える方法」で、指定業者の見積もりに対する対処法を解説します。

5. 工事のタイミング

年度末(1〜3月)は多くの企業が退去するため、原状回復工事の繁忙期にあたります。この時期は工事業者の人手が不足し、通常期と比べて10〜20%程度費用が高くなる傾向があります。

可能であれば、退去時期を繁忙期から外すことで、費用を抑えられる可能性があります。

6. 入居期間の長さ

入居期間が長いほど、壁紙や床材の劣化が進み、補修範囲が広がります。特に5年以上入居している場合は、壁紙の全面張り替えや天井の再塗装が必要になるケースがほとんどです。

入居期間と原状回復費用の関係性の目安は以下のとおりです。

入居期間追加で必要になりやすい工事費用への影響
1〜2年軽微なクリーニング程度坪単価+0〜1万円
3〜5年壁紙の部分張り替え、カーペット交換坪単価+1〜2万円
5〜10年壁紙全面張り替え、天井再塗装、空調オーバーホール坪単価+2〜4万円
10年以上上記に加え、配管清掃、設備の全面更新坪単価+3〜5万円

7. 原状回復の消費税について

原状回復工事にかかる費用には、消費税(10%)が課税されます。原状回復工事は「建物の修繕工事」に該当するため、消費税の課税対象です。

なお、敷金から原状回復費用が差し引かれる場合も同様です。敷金の預け入れ・返還自体は不課税取引ですが、敷金から控除される原状回復費用部分には消費税がかかります

たとえば、原状回復工事費が150万円の場合、消費税10%を加えた165万円が実際の負担額になります。見積もりを確認する際は、税込・税抜のどちらで表示されているかを必ず確認してください。

また、仕入税額控除の観点では、テナント(法人)が支払う原状回復費用の消費税は、課税仕入れとして仕入税額控除の対象になります。経理処理の際は、適格請求書(インボイス)を受領することを忘れないようにしましょう。

原状回復費用の消費税に関する注意点まとめ

取引内容消費税の扱い備考
原状回復工事費用課税(10%)建物の修繕工事に該当
敷金の預け入れ・返還不課税金銭の預かり・返還のため
敷金から控除される原状回復費課税(10%)実質的に工事費の支払いに該当
敷金の償却(敷引)課税(10%)賃貸借の対価の一部とみなされる

原状回復費用の見積もりや請求書を受け取った際は、消費税が正しく計算されているかインボイス(適格請求書)の要件を満たしているかを必ず確認してください。インボイスの発行事業者として登録されていない業者の場合、仕入税額控除が受けられない可能性があります。

原状回復工事の費用を抑える方法5選

原状回復の費用は決して安くありませんが、適切な対策を講じることで大幅に削減できる可能性があります。ここでは、実践的な5つの方法を紹介します。

方法1:複数の業者から相見積もりを取る

契約上、ビル指定業者への依頼が義務付けられている場合でも、指定業者の見積もり内容の妥当性を検証するために、他の業者からも見積もりを取得することは可能です。

一般業者の見積もりを「セカンドオピニオン」として活用し、指定業者の見積もりに不明確な項目や割高な単価がないかをチェックしましょう。実際に、相見積もりを根拠にビル側と交渉した結果、20〜30%程度の減額に成功したケースも多く報告されています。

見積もり取得のポイント:

  • 最低3社以上から見積もりを取る
  • 見積もりの内訳(工事項目・数量・単価)を細かく比較する
  • 「一式」表記の項目は、具体的な内訳を求める
  • 退去の6ヶ月前には見積もり依頼を開始する

方法2:不要な工事項目を精査・交渉する

ビル指定業者の見積もりには、契約上の原状回復義務の範囲を超える工事が含まれていることがあります。見積もりの各項目を、賃貸借契約書の原状回復条項と照らし合わせて精査しましょう。

特に注意すべき項目は以下のとおりです。

  • 経年劣化分の補修:契約に「経年劣化も含めて原状回復」と明記されていない場合、交渉の余地があります
  • グレードアップ工事:入居時より高い仕様で復旧する工事が含まれていないか確認します
  • 共用部分の工事:テナント専有部分以外の工事費が含まれていないか確認します
  • 過剰な廃棄物処理費:実際の廃棄物量に対して過大な見積もりになっていないか確認します

方法3:専門家(原状回復コンサルタント)に依頼する

原状回復費用の適正化を専門とするコンサルタントや、テナント側に立って交渉を代行してくれるサービスがあります。コンサルタントは見積もりの精査、ビル側との交渉、工事の監理などを行い、一般的に削減額の30〜50%を成功報酬として受け取るビジネスモデルが主流です。

100坪以上の大規模オフィスで原状回復費用が高額になる場合は、コンサルタントの活用で数百万円単位のコスト削減が期待できます。

コンサルタント活用の判断基準:

  • 原状回復費用の見積もりが500万円以上の場合は検討の価値あり
  • ビル指定業者の見積もりが相場より明らかに高い場合
  • 契約書の原状回復条項が複雑で、範囲の解釈に不安がある場合
  • 過去に原状回復のトラブルを経験したことがある場合

方法4:入居時から退去時の対策を講じる

入居の段階から原状回復を意識しておくことで、退去時の費用を抑えることができます。

  • 入居時の写真撮影:壁・床・天井・設備の状態を詳細に記録しておく(退去時のトラブル防止に有効)
  • 契約時の原状回復条項の確認:原状回復の範囲、指定業者の有無、スケルトン返しか事務所仕上げかを明確にする
  • 内装工事を最小限にする:置き家具やパーティションで対応できる箇所は造作を避ける
  • 撤去しやすい素材・工法を選ぶ:壁面のシート仕上げ、置き敷きのタイルカーペットなど

方法5:居抜き退去を交渉する

居抜き退去とは、内装や設備をそのまま残した状態で退去する方法です。次のテナントが現状の内装を活用できる場合、ビルオーナーの了承を得て居抜き退去が認められるケースがあります。

居抜き退去が実現すれば、原状回復費用がゼロまたは大幅に削減されます。ただし、居抜きでの退去はビルオーナーの同意が必要であり、次のテナントが見つからない場合は認められないこともあります。

居抜き退去を実現するためのポイント:

  • 退去の6ヶ月以上前にビルオーナーに相談する
  • 居抜き物件の仲介に強い不動産会社に依頼する
  • 内装の状態が良好であることが前提(築年数が浅い内装ほど有利)
  • 居抜き退去が認められなかった場合のスケジュールも並行して準備しておく

なお、居抜き退去はビルオーナーにとっても、次のテナントの入居までの空室期間を短縮できるメリットがあります。内装の状態が良好で、汎用性の高いレイアウト(一般的なオープンオフィス+会議室)であれば、ビルオーナーも前向きに検討してくれる可能性が高まります。

方法ごとの費用削減効果の比較

ここまで紹介した5つの費用削減方法について、期待できる削減効果と難易度をまとめます。

方法期待できる削減率難易度適用条件
相見積もり10〜30%低い(誰でもできる)見積もり段階で実施
不要工事の精査・交渉10〜20%中程度(知識が必要)契約書と見積もりの照合が必要
コンサルタント活用20〜40%低い(プロに任せる)費用500万円以上の場合に有効
入居時からの対策10〜30%低い(意識の問題)入居時点での判断が必要
居抜き退去80〜100%高い(交渉・条件次第)ビルオーナーの同意が必要

最も効果的なのは「居抜き退去」ですが、ビルオーナーの同意が前提となるため不確実性が高いのが実情です。確実に費用を抑えるためには、「相見積もり」と「不要工事の精査」を組み合わせて実施することを推奨します。この2つだけでも、20〜40%程度の削減が期待できます。

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原状回復工事の流れとスケジュール

原状回復工事をスムーズに進めるためには、退去の6ヶ月前から計画的に準備を始めることが重要です。以下のスケジュールを目安にしてください。

退去6ヶ月前:解約予告・現状確認

多くのオフィス賃貸借契約では、退去の6ヶ月前までに解約予告を行う必要があります(契約書により3ヶ月前の場合もあります)。解約予告と同時に、以下の作業を行いましょう。

  • 賃貸借契約書の原状回復条項を再確認する
  • ビルの管理会社に原状回復工事の要件を確認する
  • 現在のオフィスの状態を写真撮影して記録する
  • 入居時の図面・写真と比較して、復旧が必要な箇所を把握する

退去4〜5ヶ月前:見積もり取得・業者選定

ビル指定業者がある場合は、この段階で見積もり依頼を行います。同時に、比較用の見積もりを他の業者からも取得しましょう。

  • 指定業者に見積もりを依頼する
  • 相見積もり用の業者(2〜3社)にも見積もりを依頼する
  • 見積もり内容を比較・精査する
  • 不明点があればビル管理会社に確認する

退去3ヶ月前:見積もりの交渉・工事内容の確定

見積もりの精査結果をもとに、必要に応じてビル側・業者と交渉します。

  • 不要な工事項目がないか最終確認する
  • 費用の減額交渉を行う(相見積もりを根拠に)
  • 工事スケジュールを確定する
  • 工事に伴う搬出スケジュールを調整する

退去1〜2ヶ月前:什器・備品の搬出

原状回復工事の着工前に、オフィス内の什器・備品・書類等をすべて搬出する必要があります。

  • 不用品の処分・リサイクル業者の手配
  • 什器・備品の搬出スケジュールの調整
  • IT機器の撤去・データの消去
  • 郵便物の転送届け手続き

退去2週間〜1ヶ月前:原状回復工事の実施

什器搬出完了後、原状回復工事を実施します。工事期間の目安は以下のとおりです。

オフィス規模工事期間の目安
〜30坪1〜2週間
30〜100坪2〜4週間
100坪〜1〜2ヶ月

工事期間中もオフィスの賃料は発生しているため、工事を計画どおりに完了させることがコスト削減にも直結します。

退去日:ビル側の検査・明け渡し

工事完了後、ビルの管理会社やオーナーによる検査を受けます。問題がなければ鍵を返却し、明け渡しが完了します。指摘事項があった場合は追加工事が必要になるため、検査日の前にスケジュールに余裕を持たせておくことをおすすめします。

原状回復工事のスケジュール一覧表

時期やるべきことポイント
退去6ヶ月前解約予告、契約書確認、現状記録解約予告期間は契約書で必ず確認
退去4〜5ヶ月前見積もり取得、相見積もり依頼最低3社から見積もりを取得
退去3ヶ月前見積もり交渉、工事内容確定不要項目の精査・減額交渉
退去1〜2ヶ月前什器搬出、不用品処分IT機器のデータ消去も忘れずに
退去2週間〜1ヶ月前原状回復工事実施工期に1〜2週間の余裕を確保
退去日ビル側検査、鍵の返却指摘事項への対応時間を確保
退去後3〜6ヶ月敷金返還の確認原状回復費の控除額を精査

上記のスケジュールは一般的な目安です。大規模オフィス(100坪以上)の場合は、退去の8〜12ヶ月前から準備を開始することを推奨します。工事の規模が大きいため、見積もり取得や業者選定に時間がかかるほか、工事期間も長期化するためです。

原状回復工事のトラブルを避けるためのチェックポイント

原状回復をめぐるトラブルは決して珍しくありません。ここでは、よくあるトラブルとその対処法を紹介します。

トラブル1:見積もり金額が想定より大幅に高い

原状回復工事の見積もりが、坪単価の相場を大幅に上回っている場合は、以下を確認しましょう。

  • 見積もりの内訳に「一式」表記が多く、詳細が不明確ではないか
  • 原状回復の範囲を超えた「グレードアップ工事」が含まれていないか
  • 不要な工事項目が紛れ込んでいないか
  • 単価が相場と比べて著しく高くないか

見積もりに不透明な点がある場合は、項目ごとの内訳と根拠の説明を求めることが重要です。

トラブル2:契約書の原状回復条項が曖昧

契約書に「原状回復」としか記載されておらず、具体的な範囲が不明確な場合、退去時に解釈の相違からトラブルが発生しやすくなります。

入居時に以下の点を契約書で明確にしておくことが理想的です。

  • 原状回復の範囲(スケルトン返しか、事務所仕上げか)
  • 原状回復の基準(入居時の状態に戻すのか、ビルの標準仕様に戻すのか)
  • 工事業者の指定の有無
  • 原状回復工事の期限
  • 原状回復費用の精算方法(敷金からの控除か、別途支払いか)

トラブル3:工事期間の超過による追加賃料の発生

原状回復工事が契約の退去日までに完了しない場合、超過分の賃料(違約金を含む場合もある)が発生するリスクがあります。

これを避けるためには、工事スケジュールに1〜2週間程度の余裕を持たせ、万が一の遅延にも対応できるようにしておきましょう。また、工事中は定期的に進捗を確認し、遅延の兆候があれば早めに対策を講じることが重要です。

トラブル4:敷金の返還額が想定より少ない

退去後、敷金から原状回復費用が差し引かれた結果、返還額が想定よりも大幅に少ないというトラブルがあります。

この問題を防ぐためには:

  • 退去前に原状回復費用の確定見積もりを取得し、敷金との差額を把握しておく
  • 敷金の返還スケジュール(通常は退去後3〜6ヶ月)を契約書で確認する
  • 原状回復費用の請求書・領収書をすべて保管する
  • 敷金返還額に納得できない場合は、内訳の説明を求める

トラブル5:指定業者との認識の食い違い

ビル指定業者との間で、工事の範囲や仕上がりの品質について認識の食い違いが生じることがあります。これを防ぐためには、工事開始前に工事範囲・仕様・完了基準を書面で合意することが重要です。

口頭での合意だけでは、後から「言った・言わない」のトラブルに発展する可能性があります。メールやFAXなどの書面でやり取りの記録を残しましょう。

トラブルを防ぐためのチェックリスト

原状回復に関するトラブルを未然に防ぐために、以下のチェックリストを活用してください。

【入居時のチェックリスト】

  • 契約書の原状回復条項を熟読し、範囲・基準・期限を把握する
  • 入居時のオフィスの状態を写真・動画で詳細に記録する(日付入り)
  • 入居時の図面(竣工図)を入手して保管する
  • ビル指定業者の有無と、工事区分(A/B/C工事)の範囲を確認する
  • 敷金の償却条件(敷引)を確認する

【退去時のチェックリスト】

  • 解約予告を期限内に書面で提出する
  • ビル管理会社と原状回復の範囲について事前打ち合わせを行う
  • 複数業者から見積もりを取得し、内訳を精査する
  • 見積もりの各項目と契約書の原状回復条項を照合する
  • 工事のスケジュールに余裕を持たせる(1〜2週間のバッファ)
  • 工事完了後の検査に立ち会い、指摘事項を書面で記録する
  • 敷金返還額と原状回復費の控除額を照合する

原状回復が不要なケース

すべてのオフィス退去で原状回復が必要なわけではありません。以下のケースでは、原状回復が不要または大幅に軽減されます。

ケース1:セットアップオフィス

セットアップオフィスとは、内装(壁・床・天井)や設備(空調・照明・ネットワーク)があらかじめ整備された状態で貸し出されるオフィスのことです。入居時に大掛かりな内装工事が不要なため、退去時の原状回復費用も大幅に軽減されます。

セットアップオフィスの原状回復は、テナントが追加した造作物の撤去とクリーニング程度で済むことが多く、通常のオフィスと比較して原状回復費用が50〜80%削減できるケースがほとんどです。

セットアップオフィスについて詳しくは「セットアップオフィスとは?メリット・デメリットを徹底解説」をご覧ください。

ケース2:居抜き退去

前述のとおり、ビルオーナーの同意が得られれば、内装をそのまま残して退去する「居抜き退去」が可能です。次のテナントが見つかっている場合に実現しやすく、原状回復費用がゼロになります。

ケース3:契約で免除されている場合

まれに、賃貸借契約書に「原状回復義務なし」と記載されている場合があります。これは、ビルオーナーが自ら改装を行う予定がある場合や、物件のリノベーション計画がある場合に見られます。

ケース4:ビルの建て替え・取り壊し予定がある場合

ビルの建て替えや取り壊しが決まっている場合、原状回復工事が不要になることがあります。この場合、ビルオーナーから原状回復義務の免除が通知されるのが一般的です。

ケース5:サービスオフィス・コワーキングスペース

サービスオフィスやコワーキングスペースは、利用契約(ライセンス契約)の形態で提供されていることが多く、一般的な賃貸借契約とは異なります。退去時は私物の撤去のみで、原状回復工事は不要です。ただし、専有スペースを確保するタイプのサービスオフィスでは、テナントが設置した造作物の撤去が必要になる場合もあります。

原状回復が不要・軽減されるケースの比較表

ケース原状回復費の目安条件・注意点
セットアップオフィス坪0.5〜2万円(大幅軽減)テナント追加分の撤去+クリーニング
居抜き退去0円(免除)ビルオーナーの同意+次テナントの確保が必要
契約で免除0円(免除)契約書に明記されている必要あり
ビル建て替え・取り壊し0円(免除)ビルオーナーからの通知が必要
サービスオフィス0〜数万円私物の撤去のみ。ライセンス契約の場合

セットアップオフィスなら原状回復費が大幅軽減

ここまで解説してきたとおり、オフィスの原状回復費用は坪単価2〜12万円と幅があり、30坪のオフィスでも100〜300万円程度の費用が発生します。この費用負担を大幅に軽減できるのがセットアップオフィスです。

セットアップオフィスで原状回復費が軽減される理由

セットアップオフィスでは、内装(壁・床・天井・照明など)がビルオーナー側の設備として提供されています。テナントはこれらの内装をそのまま利用するため、退去時に内装を解体してスケルトンに戻す必要がありません。

通常のオフィスとセットアップオフィスの原状回復費用を比較すると、以下のような差が生まれます。

比較項目通常のオフィスセットアップオフィス
原状回復の範囲スケルトン返し(内装全撤去)テナント追加分の撤去のみ
坪単価の目安(30坪)3〜8万円/坪0.5〜2万円/坪
30坪の費用目安90〜240万円15〜60万円
主な工事内容間仕切り撤去、床材撤去、壁紙張替え、設備復旧など追加造作の撤去、クリーニング程度
工事期間2〜4週間数日〜1週間

上記のとおり、セットアップオフィスなら原状回復費を70〜80%程度削減できる可能性があります。30坪のオフィスで考えた場合、通常オフィスとの費用差は最大で180万円以上になります。

原状回復費以外のコスト削減効果

セットアップオフィスは原状回復費の削減だけでなく、オフィス移転にかかるトータルコストを大幅に抑えることができます。

  • 入居時の内装工事費:ゼロ(通常のオフィスでは坪10〜30万円が必要)
  • 内装工事の期間:ゼロ(通常は1〜2ヶ月かかる)
  • 内装デザイン費:ゼロ(デザイン会社への発注が不要)
  • 退去時の原状回復費:大幅削減(前述のとおり)

たとえば30坪のオフィスを5年間利用する場合のトータルコスト比較:

費用項目通常のオフィスセットアップオフィス差額
入居時の内装工事費300〜600万円0円▲300〜600万円
退去時の原状回復費90〜240万円15〜60万円▲75〜180万円
合計削減額▲375〜780万円

このように、セットアップオフィスを選ぶことで、入退去にかかる費用を合計で375〜780万円削減できる可能性があります。特に、3〜5年程度の中期的な入居を想定している企業には、非常にコストパフォーマンスの高い選択肢です。

セットアップオフィスの原状回復の実際の流れ

セットアップオフィスを退去する場合の原状回復は、通常のオフィスと比べて非常にシンプルです。具体的な流れは以下のとおりです。

ステップ1:テナントが追加した造作物の撤去

テナントが独自に追加した設備(追加の間仕切り、サインボード、独自の照明器具など)がある場合は撤去します。ただし、セットアップオフィスでは入居時に大掛かりな内装工事を行わないため、追加造作がほとんどないケースも多くあります。

ステップ2:什器・備品の搬出

デスク・チェア・キャビネットなどの什器・備品を搬出します。セットアップオフィスによっては、什器付きで提供されている場合もあり、その場合は私物の搬出のみで完了します。

ステップ3:クリーニング

専門のクリーニング業者による清掃を行います。床のクリーニング、壁面の汚れ除去、エアコンのフィルター清掃などが対象です。費用は坪あたり数千円程度と、非常にリーズナブルです。

ステップ4:ビル側の検査・明け渡し

ビル管理会社による検査を受け、問題がなければ明け渡し完了です。セットアップオフィスの場合、検査もスムーズに進むことがほとんどです。

このように、セットアップオフィスの原状回復は最短で数日〜1週間で完了します。工事期間が短いため、その分の賃料負担も軽減されるというメリットもあります。

セットアップオフィスが特に向いている企業

以下のような企業には、セットアップオフィスが特に適しています。

  • スタートアップ・ベンチャー企業:成長に合わせて移転する可能性が高く、入退去コストを抑えたい
  • 3〜5年周期でオフィスを見直す企業:移転サイクルが短いため、毎回の原状回復費が累積する
  • 初期投資を最小限に抑えたい企業:内装工事費ゼロで即入居できる
  • 原状回復トラブルを避けたい企業:そもそもスケルトン返しの工事が不要
  • 退去スケジュールに余裕がない企業:原状回復期間が短いため、ギリギリまでオフィスを使える

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また、セットアップオフィスの賃料相場について詳しく知りたい方は「セットアップオフィスの賃料相場【2026年最新】」もあわせてご覧ください。

オフィスの原状回復に関するよくある質問(FAQ)

Q. 原状回復費用は誰が負担するのですか?

原則として、原状回復費用はテナント(賃借人)が負担します。住宅の賃貸借では経年劣化や通常損耗は貸主負担とされていますが、オフィス・事業用物件では契約書の特約により、これらもテナント負担となるのが一般的です。具体的な負担範囲は賃貸借契約書の原状回復条項で定められているため、契約前に必ず確認してください。

Q. 原状回復費用の見積もりはいつ取ればよいですか?

退去の6ヶ月前までに見積もりを取得することを推奨します。見積もりの精査、相見積もりの取得、ビル側との交渉には時間がかかるため、早めに動くことが重要です。特に大規模オフィス(100坪以上)の場合は、8〜12ヶ月前から準備を始めましょう。

Q. ビル指定業者の見積もりが高すぎる場合はどうすればよいですか?

まずは他の業者から相見積もりを取得し、指定業者の見積もりとの差異を把握してください。相見積もりを根拠に指定業者やビル管理会社と交渉することで、20〜30%程度の減額に成功するケースもあります。交渉が難航する場合は、原状回復コンサルタントに相談することも一つの方法です。

Q. 原状回復工事はテナントが業者を自由に選べますか?

契約書に「ビル指定業者」の記載がある場合は、指定業者に依頼する必要があります。ただし、C工事(内装の造作撤去など)については、テナント側で業者を選定できるケースもあります。契約書の工事区分を確認し、テナント側で選べる範囲を把握しておきましょう。

Q. 原状回復費用は敷金から差し引かれますか?

はい、一般的には退去後にビルオーナーが原状回復費用を敷金から控除し、残額をテナントに返還します。返還時期は退去後3〜6ヶ月が一般的です。原状回復費用が敷金を上回る場合は、差額をテナントが別途支払う必要があります。

Q. 原状回復費用に消費税はかかりますか?

はい、原状回復工事費用には消費税10%が課税されます。見積もり金額が税抜表示の場合は、消費税分を上乗せした金額が実際の負担額になります。たとえば税抜150万円の場合、税込で165万円です。テナント(法人)が支払う消費税は仕入税額控除の対象ですので、適格請求書(インボイス)を受領してください。

Q. 原状回復工事の期間はどれくらいかかりますか?

オフィスの規模によって異なります。30坪以下の小規模オフィスで1〜2週間、30〜100坪の中規模で2〜4週間、100坪以上の大規模で1〜2ヶ月が一般的な目安です。工事期間中もオフィスの賃料が発生するため、計画的に進めることが重要です。

Q. 退去時に原状回復工事が間に合わなかった場合はどうなりますか?

契約の退去日までに原状回復工事が完了しない場合、超過分の賃料や違約金が発生するリスクがあります。工事スケジュールには必ず1〜2週間のバッファを設け、遅延のリスクを最小化してください。万が一遅延が避けられない場合は、早めにビル管理会社に相談し、退去日の延長交渉を行いましょう。

まとめ

オフィスの原状回復は、退去時に必ず発生する大きなコスト項目です。この記事のポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 原状回復とは:オフィスを入居前の状態に戻すこと。住宅と異なり、経年劣化も含めてテナント負担が一般的
  • 費用相場:小規模(〜30坪)で坪単価2〜5万円、中規模(30〜100坪)で5〜8万円、大規模(100坪〜)で8〜12万円
  • 費用に影響する要素:面積、内装の変更度合い、ビルのグレード、指定業者の有無、工事時期など
  • 消費税:原状回復費用には消費税10%が課税される。仕入税額控除の対象
  • 費用を抑える方法:相見積もり、不要工事の精査、コンサルタント活用、入居時からの対策、居抜き退去の交渉
  • スケジュール:退去6ヶ月前から計画的に準備を進めることが重要
  • セットアップオフィス:原状回復費を70〜80%削減でき、トータルコストで375〜780万円の差が生まれる可能性がある

原状回復費用を最小限に抑えるためには、早めの情報収集と計画的な準備が何より重要です。見積もりの内容を鵜呑みにせず、相場感を持って精査・交渉することで、数十万〜数百万円の削減が可能になります。

そして、次のオフィス選びでセットアップオフィスを選択すれば、入居時も退去時もコストを大幅に削減できます。原状回復の費用負担に悩まされない、スマートなオフィス移転を実現しましょう。

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