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居抜きオフィスとは?メリット・デメリットと失敗しない選び方

Growth Office 編集部
居抜きオフィスとは?メリット・デメリットと失敗しない選び方

オフィス移転を検討する中で「居抜きオフィス」という言葉を目にする方が増えています。居抜きオフィスとは、前テナントが使用していた内装・設備・什器をそのまま引き継いで入居できる賃貸オフィスのことです。スケルトン(空っぽの状態)から内装工事を行う場合と比較して、初期費用を50〜70%削減でき、入居までの工期も大幅に短縮できます。

本記事では、居抜きオフィスの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、類似オフィスとの違い、物件選びで失敗しないためのチェックポイントまで、オフィス仲介の現場知見をもとに徹底解説します。

居抜きオフィスの仕組みと基本知識

居抜きオフィスについて正しく理解するために、まず基本的な仕組みと、混同されやすい用語との違いを整理します。

居抜きオフィスとは何か

居抜きオフィスとは、前テナントが退去する際に内装・設備・什器類を撤去せず、そのまま次のテナントに引き渡すオフィス物件です。通常、賃貸オフィスでは退去時に「原状回復」として内装をスケルトン状態に戻す義務がありますが、居抜きの場合はビルオーナーの承諾を得て、内装を残したまま退去します。後継テナントは、その内装をそのまま活用して入居できるため、内装工事費と工事期間を大幅に圧縮できるのが最大の特徴です。残される設備としては、間仕切り壁、OAフロア、天井照明、空調設備、会議室の造作、さらにはデスクやチェアなどの什器が含まれるケースもあります。

居抜きとスケルトンの違い

スケルトンとは、コンクリート躯体がむき出しの状態で、内装が一切ない「がらんどう」の物件を指します。居抜きとスケルトンの最大の違いは、入居時に内装工事が必要かどうかです。スケルトンでは内装のデザインを自由に設計できる反面、坪単価15〜30万円の工事費と2〜3ヶ月の工期が発生します。一方、居抜きなら既存の内装を活用できるため、改修費は坪単価3〜10万円程度に抑えられ、工期も2〜6週間で完了するケースがほとんどです。ただし、居抜きは前テナントのレイアウトに依存するため、自社の業務に合わないレイアウトの場合は追加工事が必要になります。

居抜きオフィスが生まれる背景

居抜き物件が市場に出る理由はいくつかあります。最も多いのは、前テナントが原状回復費用を節約するために内装を残して退去するケースです。原状回復費は坪単価5〜15万円が相場であり、100坪のオフィスであれば500〜1,500万円のコストがかかります。この費用を削減するために、ビルオーナーと交渉して内装を残す「居抜き退去」を選択する企業が増えています。また、ビルオーナー側も空室期間を短縮できるメリットがあるため、居抜き退去を認めるケースが増加傾向にあります。

居抜きオフィスとセットアップオフィスの違い

居抜きオフィスと混同されやすいのが「セットアップオフィス」です。どちらも内装付きで入居できる点は共通していますが、内装の提供者・品質・契約条件に大きな違いがあります。

比較項目居抜きオフィスセットアップオフィススケルトン
内装の提供者前テナント(退去時に残置)ビルオーナー(新規に整備)なし(自社で設計・施工)
内装の品質物件による(前テナントの使用状況次第)均一(プロが新規設計)自社で自由に設計可能
什器の状態中古(状態は物件次第)新品 or 良好な状態自社で別途調達
原状回復条件による(後継テナントが見つかれば不要な場合あり)基本不要スケルトン戻し義務あり
物件数少ない(タイミング次第)増加中最も多い
初期費用の目安スケルトンの1/3〜1/2ほぼゼロ坪15〜30万円
工期2〜6週間即日〜2週間2〜3ヶ月
レイアウト自由度低い(前テナント依存)低〜中(パッケージ型)高い(完全自由設計)

セットアップオフィスはビルオーナーが内装を用意しているため品質が安定しており、原状回復も基本不要です。一方、居抜きオフィスは前テナントの使用状況に左右されるため、物件ごとの当たり外れが大きいのが実情です。確実性を重視するならセットアップオフィスの一覧もあわせて検討してみてください。

居抜きオフィスのメリット5選

居抜きオフィスを選ぶことで得られる具体的なメリットを、コスト・スピード・環境の観点から解説します。

メリット1:内装工事費を50〜70%削減できる

居抜きオフィスの最大のメリットは、初期費用の大幅な削減です。スケルトンからの内装工事は坪単価15〜30万円が相場ですが、居抜きなら既存の間仕切り・OAフロア・照明・空調をそのまま流用できるため、改修費を坪単価3〜10万円に抑えられます。50坪のオフィスであれば、スケルトンで750〜1,500万円かかる工事費が、居抜きなら150〜500万円で済む計算です。特に前テナントと同業種のオフィスを引き継ぐ場合、LAN配管や電源レイアウトもそのまま使えることが多く、追加工事がほぼ不要になるケースもあります。

メリット2:入居までの工期を大幅に短縮できる

スケルトンからの内装工事は通常2〜3ヶ月かかりますが、居抜きオフィスなら2〜6週間で入居可能です。内装がほぼ完成した状態で引き渡されるため、軽微な補修やクリーニング、什器の搬入だけで業務を開始できます。工期の短縮は二重賃料(現オフィスと新オフィスの家賃が重なる期間)の削減にもつながり、トータルの移転コストをさらに圧縮できます。急な人員増加やオフィス統合など、スピードが求められる移転では特に大きなアドバンテージです。

メリット3:完成イメージを入居前に確認できる

スケルトンの場合、完成イメージは図面やパースでしか確認できませんが、居抜きオフィスでは実際の内装・レイアウトを内見時に確認できます。「思っていたイメージと違った」というリスクを回避でき、意思決定がスムーズに進みます。会議室の数やサイズ、執務スペースの広さ、動線の使い勝手などを実際に体感したうえで入居を判断できるのは、居抜きならではのメリットです。

メリット4:什器・備品の購入費を節約できる

居抜き物件の中には、デスク・チェア・キャビネット・ホワイトボードなどの什器がそのまま残されているケースがあります。什器の新規購入は一人あたり10〜20万円程度のコストがかかるため、20人規模のオフィスなら200〜400万円の節約になります。ただし、什器の状態は物件によって大きく異なるため、内見時に劣化具合を入念にチェックすることが重要です。

メリット5:退去時に原状回復が不要になる場合がある

居抜きで入居した場合、退去時にも後継テナントが見つかれば原状回復を免除されるケースがあります。原状回復費は坪単価5〜15万円が相場ですので、100坪のオフィスなら500〜1,500万円の節約になる計算です。ただし、この条件は契約書で明確に取り決めておく必要があります。「居抜き退去可」の条件が契約に含まれているかどうかを、入居前に必ず確認してください。

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居抜きオフィスのデメリット5選

居抜きオフィスはメリットが大きい反面、見落としがちなデメリットもあります。契約前に必ず確認しておきたいポイントを解説します。

デメリット1:内装の状態にばらつきがある

居抜きオフィスの品質は、前テナントの使用状況に大きく左右されます。壁紙の汚れ、床の傷み、空調の不具合、照明の球切れなど、見えないところで劣化が進んでいるケースも珍しくありません。特に10年以上使用された内装は、見た目はきれいでも設備の寿命が近づいている可能性があります。内見時には表面的な印象だけでなく、空調の動作確認や配管の状態など、設備面のチェックを徹底することが重要です。

デメリット2:レイアウトの自由度が制限される

間仕切り壁の位置や会議室の配置は前テナントのレイアウトに依存するため、自社の業務フローに合わない場合があります。例えば、前テナントがコールセンターとして使用していたオフィスは、大部屋の執務スペースに小さな個室が複数あるレイアウトが多いですが、クリエイティブ系の企業には不向きかもしれません。レイアウト変更のために間仕切りの撤去・新設を行うと、追加で坪単価5〜10万円の費用がかかり、居抜きのコストメリットが薄れてしまいます。

デメリット3:物件数が限られタイミングが重要

居抜き物件は、前テナントの退去タイミングに依存するため、常に市場に出回っているわけではありません。希望するエリア・面積・予算・時期のすべてが一致する居抜き物件に出会える確率は低く、物件探しに時間がかかるケースが多いです。また、好条件の居抜き物件は情報公開から数日で申し込みが入ることも珍しくないため、迅速な意思決定が求められます。

デメリット4:残置物の所有権・責任の問題がある

居抜きで引き継いだ設備や什器の所有権が曖昧なまま入居すると、トラブルの原因になります。例えば、空調設備が故障した場合、修繕費はビルオーナーと入居者のどちらが負担するのか。残置された什器を処分したい場合、処分費は誰が負担するのか。これらの取り決めが契約書に明記されていないと、退去時に予想外の費用が発生する可能性があります。入居前に残置物のリストを作成し、所有権と責任範囲を契約書で明確にしておくことが不可欠です。

デメリット5:原状回復の条件が複雑になりやすい

居抜きオフィスでは、入居時の状態(居抜き状態)と退去時の原状回復基準が一致しないケースがあります。「居抜きで入居したのに退去時はスケルトン戻し」という条件になっていると、前テナントの内装撤去費まで負担することになり、大きな損失です。契約前に「退去時の原状回復基準がどの状態か」を必ず確認し、可能であれば居抜き退去の条件を契約に盛り込むよう交渉しましょう。

居抜きオフィスの初期費用シミュレーション

居抜きオフィスの具体的なコストメリットを理解するために、50坪のオフィスを想定した初期費用のシミュレーションを紹介します。

費用項目スケルトン居抜きオフィスセットアップオフィス
内装工事費750〜1,500万円150〜500万円0円
什器購入費(20名分)200〜400万円0〜100万円0円
設計・デザイン費100〜200万円0〜50万円0円
工事期間の二重賃料(坪2万円想定)200〜300万円(2〜3ヶ月分)50〜100万円(0.5〜1ヶ月分)0円
初期費用合計1,250〜2,400万円200〜750万円0円

このように、居抜きオフィスはスケルトンと比較して初期費用を約1,000〜1,600万円削減できます。一方、セットアップオフィスであれば内装工事費がゼロのため、さらにコストを抑えることが可能です。自社の予算と重視するポイント(コスト・自由度・スピード)に応じて最適な選択肢を検討してください。

居抜きオフィスを選ぶ際の7つのチェックポイント

居抜きオフィスで「こんなはずじゃなかった」という失敗を防ぐために、内見時・契約前に必ず確認すべきポイントを解説します。

チェック1:空調・照明・電気設備の動作確認

空調設備は居抜き物件で最もトラブルが多い設備です。内見時には全室の空調を実際に稼働させ、異音・異臭・温度ムラがないか確認してください。照明はLEDへの交換済みかどうか、電気容量は自社の使用量に対して十分かどうかも重要なチェック項目です。設備の不具合が入居後に発覚すると、修繕費が自己負担になるケースが多いため、内見時の確認が極めて重要です。

チェック2:OAフロア・配線の状態

OAフロアの下には電源ケーブルやLANケーブルが配線されていますが、前テナントの配線がそのまま残っていると、自社のネットワーク構築に支障をきたす場合があります。OAフロアの一部を開けて内部の状態を確認し、配線の整理が必要かどうかを判断してください。また、OAフロアの高さが十分か(100mm以上が理想)もチェックポイントです。

チェック3:前テナントの業種と在籍期間

前テナントの業種が自社と近い場合、レイアウトや設備をそのまま活用できる可能性が高くなります。また、在籍期間が短い(2〜3年以内)物件は内装の劣化が少なく、状態が良好なケースが多いです。逆に、10年以上使用された物件は設備の経年劣化に注意が必要です。

チェック4:残置物の所有権と処分責任

残された什器や設備の所有権が誰にあるのかを契約前に明確にしておくことが不可欠です。所有権が前テナントにある場合、処分する際に前テナントの同意が必要になるケースがあります。また、不要な残置物の処分費が入居者負担になる場合もあるため、残置物リストの作成と処分条件の取り決めを必ず行ってください。

チェック5:原状回復の条件

居抜きオフィスで最も注意すべきなのが、退去時の原状回復条件です。「居抜きで入居したが退去時はスケルトン戻し」という契約になっていると、前テナントの内装撤去費まで負担することになります。契約前に「退去時の基準状態」を明確にし、可能であれば居抜き退去の条項を盛り込むよう交渉しましょう。原状回復の相場と費用削減のポイントも参考にしてください。

チェック6:ビル全体の管理状態

居抜き物件の内装だけでなく、ビル全体の管理状態も確認が必要です。共用部の清掃状態、エレベーターの動作、セキュリティ設備、耐震基準への適合状況などをチェックしてください。内装がきれいでもビル自体の管理が行き届いていないと、入居後に不便を感じる原因になります。

チェック7:賃貸条件の全体像を比較する

居抜きオフィスの賃料は、スケルトン物件と同等か、やや高めに設定されているケースがあります。内装付きのプレミアムが賃料に上乗せされている場合、長期的にはスケルトンで自社施工した方がトータルコストが安くなる可能性もあります。賃料・共益費・敷金フリーレント・原状回復条件を総合的に比較したうえで判断してください。

居抜きオフィスが向いている企業・向いていない企業

居抜きオフィスはすべての企業に最適とは限りません。自社の状況に照らして、居抜きが向いているかどうかを判断しましょう。

条件居抜きが向いている企業居抜きが向いていない企業
移転の緊急度1〜2ヶ月以内に入居したい半年以上の余裕がある
予算初期費用を極力抑えたい理想のオフィスのために投資できる
レイアウトへのこだわり標準的なレイアウトで問題ないブランドイメージを反映したデザインが必要
入居人数前テナントの使用人数と近い大幅に異なる(前テナント50名→自社10名 等)
業種前テナントと同業種・類似業種特殊な設備が必要(ラボ、スタジオ等)

居抜きが向いていないケースでも、スタートアップオフィスセットアップオフィスなど、初期費用を抑えて入居できる選択肢は複数あります。自社に合ったオフィス形態を比較検討することが大切です。

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居抜きオフィスに関するよくある質問

Q. 居抜きオフィスの内装が気に入らない場合、改装は可能ですか?

はい、ビルオーナーの承諾を得れば改装は可能です。ただし、間仕切りの撤去・新設には坪単価5〜10万円の追加費用がかかります。大幅な改装が必要な場合は居抜きのコストメリットが薄れるため、セットアップオフィスやスケルトン物件も選択肢に入れて比較検討することをおすすめします。

Q. 居抜きオフィスの什器(デスク・チェア等)は自由に処分できますか?

契約内容によって異なります。什器の所有権が入居者に移転している場合は自由に処分できますが、ビルオーナーや前テナントに所有権がある場合は勝手に処分できません。入居前に残置物リストを作成し、各什器の所有権と処分条件を契約書で明確にしておくことが重要です。

Q. 居抜きオフィスで原状回復費が発生するケースはありますか?

あります。居抜きで入居しても、退去時の原状回復基準が「スケルトン戻し」になっている契約では、前テナントの内装撤去費まで含めた原状回復費が請求されます。原状回復の相場は坪単価5〜15万円です。契約前に退去時の条件を必ず確認してください。

Q. 居抜き物件の探し方を教えてください

居抜き物件はタイミングが重要なため、複数の情報源を並行してチェックすることをおすすめします。オフィス仲介会社に希望条件を伝えておくと、居抜き物件が出たタイミングで即座に紹介を受けられます。Growth Officeでも東京エリアのオフィス物件を多数掲載しており、条件に合った物件を効率的に探すことが可能です。

Q. 居抜きオフィスとセットアップオフィスはどちらがおすすめですか?

一概にはいえませんが、品質の安定性と原状回復の手軽さを重視するならセットアップオフィス、とにかく初期費用を最小化したいなら居抜きオフィスがおすすめです。セットアップオフィスはビルオーナーが内装を整備しているため品質が安定しており、退去時の原状回復も基本不要です。

まとめ

居抜きオフィスは、前テナントの内装・設備をそのまま引き継ぐことで、初期費用を50〜70%削減し、工期を2〜6週間に短縮できるオフィス形態です。コストとスピードの面で大きなメリットがある一方、内装の品質にばらつきがあること、レイアウトの自由度が制限されること、原状回復条件が複雑になりやすいことには注意が必要です。

物件選びでは、空調・OAフロア・残置物の所有権・原状回復条件の4点を重点的にチェックし、契約前にすべての条件を書面で確認することが失敗を防ぐ鍵になります。居抜き物件が見つからない場合や品質の安定性を重視する場合は、セットアップオフィスも有力な選択肢です。Growth Officeでは東京都内の居抜き・セットアップオフィスを多数掲載していますので、ぜひ物件検索をご活用ください。

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