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スタートアップが賃貸オフィスを借りるには?審査・初期費用・エリア別相場を実データで解説【2026年版】

Growth Office編集部

スタートアップが賃貸オフィスを借りるには|審査・初期費用・エリア別データを徹底解説【2026年版】

シェアオフィスやコワーキングスペースで創業し、メンバーが増えてきたタイミングで最初の壁になるのが「賃貸オフィスへの移転」です。物件探し自体は難しくありません。難しいのは、設立から日が浅い会社が入居審査を通すこと、そして敷金・内装費という大きな初期費用を乗り越えることです。

この記事では、東京でスタートアップが賃貸オフィスを借りる際の審査の実際、初期費用の実額、エリアごとの在庫・相場データ(当社データベースの2026年8月時点の実測値)、成長ステージ別の選び方までをまとめて解説します。

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スタートアップが直面する3つの壁

賃貸オフィスの契約プロセスで、スタートアップが典型的につまずくポイントは3つあります。

1つ目は入居審査です。オーナーは賃料の支払い能力を決算書で判断しますが、設立1〜2年の会社には提出できる決算書がそもそもありません。赤字先行で成長するスタートアップの事業構造は、地主・ビルオーナーの与信感覚とは相性が悪いのが現実です。

2つ目は初期費用です。東京のオフィスの敷金相場は6〜12ヶ月分で、当社データベースの実測でも募集中区画の敷金は平均7.6ヶ月分(東京・2026年8月時点)となっています。賃料50万円のオフィスなら敷金だけで300〜600万円、さらに内装工事費が坪あたり20〜40万円かかります。調達した資金は採用とプロダクトに使いたいのに、オフィスに1,000万円近い資金が寝てしまう計算になります。

3つ目はスピードです。通常のオフィスは契約後に内装の設計・工事が入るため、入居まで2〜3ヶ月かかります。「来月から10人になるので今すぐ席が必要」というスタートアップの時間軸と合いません。

この3つの壁をまとめて回避する手段として、後述する「敷金0円×セットアップオフィス」という選択肢が近年急速に広がっています。まずは審査と費用の実際から見ていきます。

入居審査で見られるもの・設立初期でも通す方法

オフィスの入居審査で確認されるのは、主に次の項目です。

  • 決算書(直近2〜3期分)
  • 会社案内・事業内容(登記簿謄本・Webサイト)
  • 代表者の経歴
  • 連帯保証人または保証会社の利用
  • 賃料と売上・調達額のバランス

決算書が2期分ない会社の場合、審査の中心は「代わりに何で支払い能力を示すか」に移ります。実務で効果があるのは、資金調達の事実を示すことです。調達リリースや残高証明を提出し、月商や調達額に対して賃料が過大でないことを示せれば、決算書の不足を補えます。目安として、賃料は月商の10%以内、調達直後であれば手元資金の36ヶ月分の賃料支払いに耐える水準であれば、説明がつきやすくなります。

もう1つの実務的な解決策が保証会社の利用です。敷金0円や敷金減額の物件は、保証会社の保証をつけることでオーナーの貸し倒れリスクをカバーする仕組みになっており、審査の主体がオーナーから保証会社に移ります。保証会社の審査は事業計画や調達状況も加味して判断されるため、設立初期の会社でも通るケースが多くなっています。保証料の目安は賃料の1ヶ月分程度です。

初期費用はいくらかかるか(20坪・10名の実額モデル)

東京で20坪(10名規模)のオフィスを借りる場合の初期費用を、通常オフィスと敷金0円×セットアップオフィスで比較します。

費用項目通常オフィス
(坪単価25,000円)
敷金0円×セットアップ
(坪単価30,000円)
敷金500万円(10ヶ月分)0円
保証料約60万円(賃料1ヶ月分程度)
仲介手数料50万円(1ヶ月分)60万円(1ヶ月分)
内装工事費500万円(坪25万円)0円
什器・家具150万円0円(備え付け)
前家賃(1ヶ月)50万円60万円
入居時合計約1,250万円約180万円

入居時に動く資金の差は約1,000万円です。シード〜シリーズAの調達額が数千万〜数億円であることを考えると、この差は採用2〜3名分の年収に相当します。月々の賃料はセットアップの方が2割ほど高くなりますが、資金効率を優先するフェーズでは合理的なトレードオフと言えます。

詳しい費用シミュレーションはセットアップオフィスの初期費用シミュレーションで面積別に解説しています。

エリア別の在庫と相場【当社DB実測・2026年8月時点】

スタートアップの最初のオフィスは20坪以下の小規模区画が中心になります。当社データベースに登録されている東京の募集中区画(20坪以下)の在庫数と坪単価の中央値をエリア別にまとめました。

エリア20坪以下の募集区画数坪単価(中央値)エリアの特徴
千代田区483区画20,000円神田・秋葉原に手頃な物件が集中。大手町にはフィンテック拠点FINOLAB
港区420区画24,713円VC・CVCの集積地。虎ノ門ヒルズにスタートアップ支援拠点ARCH
渋谷区335区画27,890円ビットバレー。エンジニア採用に最も強いが単価も最高水準
中央区326区画21,008円日本橋にライフサイエンス集積(LINK-J)。都心3区では割安
新宿区250区画19,387円ターミナル立地で通勤利便が高い。都心5区で最安水準
台東区115区画13,000円蔵前・浅草橋にD2C系が集積。都心アクセス良好で最安クラス
文京区95区画15,498円東大本郷キャンパス周辺に研究開発型・大学発スタートアップ
品川区76区画26,837円五反田バレー。SaaS系の集積で知られる

採用ブランドを重視するなら渋谷・港区、資金効率を重視するなら神田・新宿・台東・文京という構図がはっきり出ています。渋谷と台東区では同じ広さで坪単価が2倍以上違うため、「何のためにそのエリアに入るのか」を決めてから探すことが、限られたランウェイを守ることにつながります。

公的なスタートアップ支援拠点も選択肢に入れる

東京には行政・大手デベロッパーが運営するスタートアップ支援拠点が複数あり、創業直後であれば賃貸オフィスの前段としてこれらを使う選択肢もあります。渋谷区はShibuya Startup Supportとして起業家向けの相談・支援プログラムを提供しており、虎ノ門ヒルズのARCH、大手町のFINOLAB、日本橋のLINK-J拠点網など、業種特化型の集積も形成されています。

これらの拠点はネットワーキングの価値が大きい一方、席数・個室数に限りがあり、10名を超えると独立オフィスの方が1人あたりコストで安くなるケースが多くなります。「支援拠点で創業→敷金0円×セットアップで独立オフィス→成長に合わせて増床」というステップが、資金効率の面では現実的です。

敷金半額くん(全国どのオフィスも敷金0円に?)

敷金0円×セットアップオフィスという解決策

前述の3つの壁(審査・初期費用・スピード)をまとめて回避できるのが、敷金0円とセットアップ(内装・什器付き)を組み合わせた物件です。当社ではこれをスタートアップオフィスと呼んで専用の検索ページを設けています。

当社データベースの実測では、東京の募集中セットアップ区画の敷金は平均5.6ヶ月分と、オフィス全体の平均7.6ヶ月分より2ヶ月分軽くなっています。さらに敷金0円で入居できるセットアップ区画が51件(2026年8月時点)あり、これらを選べば入居時の資金拘束はほぼ前家賃と保証料だけになります。

注意点は、供給が限られていることです。東京全体の募集中区画約9,000件のうちセットアップは約600件(7%弱)、その中で敷金0円対応はさらに1割程度しかありません。条件の良い区画は回転が速いため、移転時期の3〜4ヶ月前から探し始め、条件に合う物件が出たら早めに内見を入れるのが現実的な動き方です。

東京のスタートアップオフィス(敷金0円×セットアップ)の一覧はこちら

成長ステージ別・オフィス選びの目安

ステージ人数の目安広さの目安現実的な選択肢
創業〜シード1〜5名〜10坪コワーキング・支援拠点、小規模セットアップ
シリーズA前後5〜20名10〜30坪敷金0円×セットアップで独立オフィス第1号
シリーズB前後20〜50名30〜80坪セットアップまたは通常オフィス+一部内装投資
シリーズC以降50名〜80坪〜通常オフィスで採用・ブランドに投資

広さは1人あたり2〜3坪が目安です。採用計画が動いているなら、現在の人数ではなく半年〜1年後の人数で選ぶと、住み替えの頻度を抑えられます。逆に、2年以上先の人数に合わせて借りるのは賃料の無駄が大きく、セットアップオフィスの「退去しやすさ」を活かして段階的に住み替える方が総コストは下がります。

契約前に必ず確認する3点

成長スピードが速いスタートアップにとって、契約条件は「借りるとき」より「出るとき・広げるとき」に効いてきます。次の3点は契約前に必ず確認してください。

まず解約予告期間です。オフィスは3〜6ヶ月前予告が一般的で、6ヶ月予告の物件では「手狭になってから動く」と半年間は身動きが取れません。次に契約形態です。定期借家契約は期間満了で確定的に終了する契約で、再契約の可否はオーナー次第です。セットアップ物件には定借が多いため、延長の選択肢があるかを事前に確認しておきます。最後に原状回復の範囲です。セットアップ物件は持ち込み品の撤去・清掃が中心で負担が軽いのが通例ですが、範囲は契約書の記載がすべてです。詳しくはセットアップオフィスの退去時の注意点で解説しています。

スタートアップの賃貸オフィスに関するよくある質問

Q. 設立6ヶ月・決算書なしでも賃貸オフィスは借りられますか?

A. 借りられます。保証会社を利用する敷金0円・敷金減額物件であれば、決算書の代わりに資金調達状況や事業計画で審査されるため、設立直後でも通るケースが多くあります。調達リリースや残高証明を用意しておくと審査がスムーズです。

Q. 賃料の目安はどう考えればいいですか?

A. 月商の10%以内が一般的な目安です。調達直後で売上が立っていない場合は、手元資金で36ヶ月分の賃料を支払える水準に抑えておくと、次の調達までのランウェイを圧迫しません。

Q. コワーキングスペースから移るタイミングは?

A. 目安は「固定席が8〜10席を超えたとき」です。この規模になるとコワーキングの月額合計が小規模オフィスの賃料を上回り始め、会議室の予約競争や情報管理の問題も出てきます。詳しくはコワーキング卒業のタイミングの記事をご覧ください。

Q. 敷金0円の物件は怪しくないですか?

A. 敷金0円は、保証会社の保証でオーナーの貸し倒れリスクをカバーする正規のスキームです。物件そのものは通常の賃貸オフィスと同じで、品質や契約条件が劣るわけではありません。仕組みの詳細は敷金0円の仕組みの解説ページにまとめています。

Q. 居抜きオフィスとセットアップオフィスはどちらがいいですか?

A. 初期費用の安さはどちらも同等ですが、居抜きは前テナントの内装をそのまま引き継ぐため状態にばらつきがあり、退去時の原状回復範囲も契約によって複雑になりがちです。内装品質と契約の分かりやすさを重視するならセットアップ、都心の割安物件を最優先するなら居抜きも選択肢になります。

Q. 大きくなったらすぐ退去できますか?

A. 解約予告期間(3〜6ヶ月)を守れば退去できます。セットアップオフィスは原状回復負担が小さいため退去コストも抑えられます。増床前提であれば、契約時に解約予告期間が短い物件、同ビル・同シリーズ内で住み替えできる物件を選んでおくと動きやすくなります。

まとめ

スタートアップの賃貸オフィス探しのポイントを整理します。

  • 審査の壁は保証会社スキームで越えられる。調達実績・残高証明が決算書の代わりになる
  • 初期費用は通常オフィスで約1,250万円、敷金0円×セットアップなら約180万円まで圧縮できる(20坪モデル)
  • 20坪以下の在庫は千代田483・港420・渋谷335区画など。坪単価は台東13,000円〜渋谷27,890円と2倍以上の差がある(2026年8月時点・当社DB実測)
  • 敷金0円対応のセットアップ区画は都内51件と希少。移転の3〜4ヶ月前から動き始める
  • 契約前に解約予告期間・契約形態・原状回復範囲を確認する

オフィスは「今の会社」ではなく「1年後の会社」に合わせて選ぶものです。資金は採用とプロダクトに集中させ、オフィスの初期費用は仕組みで圧縮する。それが成長スピードを落とさないオフィス戦略の基本形です。

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