東京都心5区のオフィス空室率は、2024年の6%台から2026年3月時点で4%台まで低下しています。パンデミック後に「オフィス不要論」が叫ばれたにもかかわらず、なぜオフィスの空室率は低下し続けているのでしょうか。
結論として、オフィス空室率の低下には「大企業のオフィス回帰」「スタートアップの需要増」「老朽ビル建替えによる供給減」という3つの構造的要因が存在します。本記事では、2026年最新のオフィス市場データをもとに、空室率低下の3つの要因と今後の見通し、企業が取るべきアクションを詳しく解説します。
東京都心5区のオフィス空室率推移【2019〜2026年】
まずは東京都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)のオフィス空室率が、この7年間でどのように推移してきたかを確認しましょう。空室率の推移を把握することで、現在の市場環境が歴史的にどの位置にあるかが分かります。
空室率の推移データ
| 時期 | 空室率 | 背景 |
|---|---|---|
| 2019年(パンデミック前) | 1.5% | 過去最低水準。オフィス需要が供給を大幅に上回る |
| 2020年 | 3.5% | パンデミック発生。リモートワーク導入の初動で解約が増加 |
| 2021年 | 6.0% | リモートワーク普及でオフィス解約が急増。空室率が急上昇 |
| 2023年 | 6.4% | 大型ビルの供給増加もあり空室率はピーク圏に到達 |
| 2024年 | 5.5% | オフィス回帰の動きが本格化。改善傾向が顕在化 |
| 2025年 | 5.0% | スタートアップのオフィス需要増が寄与 |
| 2026年3月 | 4%台 | 改善傾向が継続。Aクラスビルの需要が特に旺盛 |
※ 出典:三鬼商事「オフィスマーケットデータ」をもとに作成
データから読み取れるポイント
2021年の6.0%をピークに、空室率は一貫して改善傾向にあります。注目すべきは、パンデミック前の1.5%という水準には戻っていないものの、4%台は「貸し手市場」に転じる目安とされていることです。テナント側にとっては、物件選定の競争が厳しくなりつつあることを意味します。
このデータの背景にある3つの構造的要因を、次のセクションで詳しく解説します。
オフィス空室率が低下している3つの理由
空室率の低下は単一の要因ではなく、需要側と供給側の双方で複数の変化が同時に起きていることが原因です。ここでは主要な3つの理由を、データと合わせて解説します。
理由1:大企業のオフィス回帰が加速している
Amazon、Google、メタなどのグローバルテック企業が2024〜2025年にかけて出社日数を週3〜5日に引き上げたことは、日本企業にも大きな影響を与えました。日本の大手企業でも「完全リモート」から「ハイブリッド勤務(週2〜3日出社)」への回帰が急速に進んでいます。
ハイブリッド型に移行しても、出社日に全員が座れる席数が必要なため、当初想定されたほどオフィス面積の縮小は進みませんでした。むしろ「出社する価値のある空間」として、オフィスの質を高める方向に投資が向かっているのが2026年のトレンドです。
特に注目すべきは、従業員エンゲージメント調査で「対面コミュニケーションの機会」が生産性向上の上位要因として挙がっている点です。企業がオフィスに求める役割が「作業場所」から「コミュニケーションの場」へとシフトしており、面積ではなく質への投資が増えています。
理由2:スタートアップのオフィス需要が旺盛
2024〜2026年にかけて、スタートアップ企業の資金調達は堅調に推移しています。調達後の成長フェーズにおけるオフィス移転需要が、空室率の改善に大きく寄与しています。
特にシリーズA〜Bのスタートアップは、コワーキングスペースやシェアオフィスからの「卒業」として、自社専用のオフィスを求める傾向が強いです。従業員数が10名を超えるタイミングで、シェアオフィスから賃貸オフィスへの移転を検討する企業が多く見られます。
この層のニーズに応える形で、セットアップオフィスやスタートアップ向け敷金0円物件の供給も増加しており、市場の活性化につながっています。初期費用を抑えて迅速に入居できるオフィス形態は、スタートアップの成長スピードにマッチしているのです。
理由3:老朽ビルの建替えによる供給量の減少
築40年以上の老朽ビルの建替えプロジェクトが、東京都心の各所で同時に進行しています。建替え中は一時的に市場から物件が消えるため、供給量が減少し、需給バランスが引き締まる方向に作用します。
建替え後はAクラスビルとして市場に戻りますが、賃料水準は建替え前より大幅に上昇するのが一般的です。坪単価で1.5〜2倍になるケースも珍しくありません。このため、もともと入居していた中小企業が同じビルに戻れず、より賃料の低い物件を探す「玉突き移転」が発生します。
この玉突き効果により、Bクラス・Cクラスのビルでも空室率が低下する波及効果が生まれています。オフィスの敷金の負担が変わることも、移転先選びに影響を与えるポイントです。
エリア別の空室率動向
空室率の低下は東京都心全体で見られますが、エリアによって回復スピードに差があります。自社の移転候補エリアがどのような状況にあるかを把握しておくことが重要です。
都心5区エリア別の特徴
| エリア | 空室率の傾向 | 特徴 |
|---|---|---|
| 千代田区(丸の内・大手町) | 3%台で推移 | 大企業本社の集積地。Aクラスビルの需要が特に強い |
| 中央区(日本橋・八重洲) | 4%台前半 | 再開発で新規供給が多いが、需要が吸収。IT企業の集積が進む |
| 港区(赤坂・六本木・新橋) | 4%台後半 | 外資系企業の需要が底堅い。虎ノ門エリアの開発が進行中 |
| 新宿区 | 5%台前半 | 西新宿の大型ビル建替えが進行。中小企業向け物件が豊富 |
| 渋谷区 | 4%台前半 | IT・スタートアップの集積地。セットアップオフィスの供給が充実 |
エリア選定のポイント
空室率が低いエリアほど好条件の物件は早期に契約が決まります。特に千代田区・渋谷区では、募集開始から成約までの期間が平均2〜3ヶ月と短くなっています。オフィス移転の流れを事前に把握し、候補物件が出たら即座に内見できる体制を整えておくことが重要です。
今後の見通しと企業への影響
空室率の低下傾向は2026〜2027年も続く見通しです。2027年にかけて大規模なオフィスビルの竣工が予定されていますが、需要の堅調さを踏まえると、大幅な空室率の上昇は見込みにくい状況です。企業にとって具体的に影響するポイントを整理します。
影響1:賃料の上昇圧力が強まる
空室率の低下は賃料の上昇に直結します。東京都心5区の平均賃料は2025年後半から上昇基調に転じており、前年比で3〜5%の上昇が見られます。移転を検討している企業は、早めの意思決定が有利です。半年後にはさらに条件が厳しくなっている可能性があります。
オフィスの家賃交渉術を活用して賃料を抑える方法もありますが、空室率が低い環境ではオーナー側の交渉力が強くなるため、交渉余地は限定的になりつつあります。
影響2:好物件の競争が激化する
条件の良い物件は早期に契約が決まるため、複数の候補を並行して検討し、意思決定のスピードが求められます。内見から申込みまでの期間が1週間以内というケースも増えています。
特に人気エリアのセットアップオフィスは、内装工事が不要で入居までのリードタイムが短いことから、スピード重視の企業に選ばれやすく、競争が激しくなっています。
影響3:コスト最適化の重要性が増す
賃料上昇局面では、初期費用と月額コストの両面でコスト最適化が求められます。具体的な施策として、以下が有効です。
オフィス移転をご検討中の方へ
空室率の低下が続く今、好条件の物件は早い者勝ちの状況です。Growth Officeでは、セットアップオフィスや敷金0円物件を多数掲載しています。まずは希望条件で物件を検索してみてください。
空室率低下の局面で企業が取るべきアクション
空室率が低下する局面では、受け身の物件探しでは優良物件を確保できません。能動的なアプローチが必要です。
アクション1:移転スケジュールを前倒しする
「契約更新のタイミングで移転を考えよう」では手遅れになるケースが増えています。現在のオフィスに課題を感じているなら、今すぐ情報収集を開始することを推奨します。物件情報の収集から入居まで、最短でも3ヶ月はかかるため、余裕を持ったスケジュールが不可欠です。
アクション2:物件の選定基準を明確にする
複数の物件を短期間で比較検討するには、事前に「譲れない条件」と「あれば嬉しい条件」を区別しておく必要があります。立地・面積・賃料・設備の4軸で優先順位をつけておくと、意思決定が速くなります。
オフィス移転の理由と目的を明文化することで、判断軸がブレるのを防げます。
アクション3:複数の物件タイプを視野に入れる
従来の賃貸オフィスだけでなく、セットアップオフィスやレンタルオフィスも選択肢に含めることで、物件の候補数を増やせます。オフィスの種類を理解した上で、自社に最適な形態を選びましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 空室率が低いと、テナントにとってどのような影響がありますか?
空室率が低い環境では、物件の選択肢が減り、賃料が上昇する傾向があります。好条件の物件は競争が激しくなるため、意思決定のスピードが重要になります。早めに情報収集を始め、複数の物件を並行検討する戦略が有効です。
Q. 空室率はどの程度が「適正」と考えられますか?
一般的に、オフィスの空室率は5%前後が需給均衡の目安とされています。4%台以下は「貸し手市場」、6%以上は「借り手市場」と見なされることが多いです。2026年3月時点の4%台は、テナント側にとってやや不利な環境といえます。
Q. 今後、空室率が再び上昇する可能性はありますか?
2027年にかけて大規模ビルの竣工が控えているため、一時的に供給が増加する可能性はあります。しかし、オフィス回帰のトレンドとスタートアップの需要増を考慮すると、大幅な空室率の上昇は見込みにくいというのが市場コンセンサスです。
Q. 中小企業がこの市場環境で移転するにはどうすればよいですか?
初期費用を抑えられるセットアップオフィスや敷金0円物件を活用することで、大企業との競争を避けながら好立地を確保できます。Growth Officeでは、中小企業やスタートアップに適した物件を多数掲載しています。
Q. 空室率の低下は地方のオフィスにも影響していますか?
地方主要都市(大阪・名古屋・福岡)でも空室率の改善傾向は見られますが、東京ほどの低下幅ではありません。地方では企業誘致や再開発の進捗度合いによってエリアごとの差が大きい状況です。
空室率低下で物件争奪戦が激化中
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まとめ
東京のオフィス空室率は、大企業のオフィス回帰・スタートアップの需要増・老朽ビル建替えによる供給減という3つの構造的要因により、2026年も低下が続いています。企業にとっては賃料上昇と物件競争の激化が見込まれるため、以下のアクションを推奨します。
- 移転スケジュールを前倒しし、早めに情報収集を開始する
- 物件の選定基準を明確にし、意思決定のスピードを上げる
- セットアップオフィスや敷金0円物件など、複数の物件タイプを視野に入れる
Growth Officeではセットアップオフィスや敷金0円物件を多数掲載しています。空室率が低下する今こそ、早めの物件探しを始めましょう。
