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事務所衛生基準規則とは?オフィスの広さ・換気・室温・照明・トイレの基準と、借りる前に確かめること

Growth Office編集部
事務所衛生基準規則とは?オフィスの広さ・換気・室温・照明・トイレの基準と、借りる前に確かめること

オフィスで人を働かせる会社には、部屋の広さや空気、室温、明るさ、トイレの数などについて、守らなければならない最低限の基準があります。その基準を定めているのが、厚生労働省令の「事務所衛生基準規則」です。

この記事では、事務所衛生基準規則の主な基準を条文に沿って整理し、2021年12月からの改正で変わった点と、これからオフィスを借りる会社が物件を選ぶ段階で確かめておきたいことをまとめます。

事務所衛生基準規則とは

事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)は、労働安全衛生法にもとづいて、事務所で働く人の衛生の基準を定めた省令です。労働安全衛生法23条は、事業者に対して、作業場の換気、採光、照明、保温、防湿、休養、清潔などに必要な措置を講じるよう求めており、事務所についての具体的な基準がこの規則に書かれています。

対象になる「事務所」は、建築物またはその一部で、事務作業に従事する労働者が主として使用するものです(1条)。自社ビルか賃貸オフィスかは問いません。

守る立場にあるのは、オフィスで人を働かせる会社

規則の条文の多くは「事業者は」で始まります。事業者とは、労働者を雇って働かせる会社のことです。賃貸オフィスであれば、ビルのオーナーではなく、借りてそこで社員を働かせる会社が基準を守る立場になります。

ただ、天井の高さ、窓、空調、トイレの数のように、ビルの設備で決まってしまう項目が少なくありません。入居してから足りないことに気づいても、借りている側では直しにくいものばかりです。契約の前に、物件の条件と基準を照らし合わせておくことが大切です。

主な基準の一覧

項目
(条文)
主な基準
広さ
(2条)
1人あたり
10立方メートル以上
換気
(3条)
開けられる窓などが
床面積の20分の1以上、
または換気設備
空気の質
(5条)
二酸化炭素
1,000ppm以下など
(空調・換気設備あり)
室温・
湿度
(5条)
18〜28度、40〜70%
(空調あり・努力義務)
照明
(10条)
一般的な事務作業で
300ルクス以上
トイレ
(17条)
男女別で、
人数に応じた数
休養室
(21条)
常時50人以上
などで必要

このあと、項目ごとに条文の中身と、賃貸オフィスで確かめたい点を順に見ていきます。

広さの基準(気積):1人あたり10立方メートル以上

2条は、労働者を常時就業させる部屋の「気積」(空気の量)を、労働者1人について10立方メートル以上にするよう定めています。気積を計算するときは、机や棚などの設備が占める容積と、床から4メートルを超える高さにある空間は除きます。

計算は、床面積に天井高を掛けて部屋の容積を出し、設備の容積を引いてから10で割ります。たとえば20坪(約66.1平方メートル)で天井高2.6メートルの部屋なら、容積は約171.9立方メートルです。設備の容積を引く前の段階で、上限は17人になります。同じ20坪でも、天井高が3.0メートルなら約198.3立方メートルで19人、2.4メートルなら約158.7立方メートルで15人です。

20坪(約66.1平方メートル)の部屋に、気積の基準(1人10立方メートル)で入れる人数の上限。天井高2.4メートルで約158.7立方メートル・15人、2.6メートルで約171.9立方メートル・17人、3.0メートルで約198.3立方メートル・19人。机や棚など設備の容積と、床から4メートルを超える部分は除いて計算する

GOに掲載している東京の空室のうち、天井高が載っている321区画(2026年9月29日時点)では、天井高の中央値が2.66メートルで、半数が2.52〜2.80メートルの間にありました。天井高が載っている区画は全体の1割に満たないため目安ですが、天井高2.6メートル前後で考えると、気積の基準は床面積に直して1人あたり約3.8平方メートル(約1.2坪)です。

ただし、これは法令が求める下限です。実際には机と椅子、通路、会議室、収納が要るため、必要な広さはこれよりずっと大きくなります。GOでは、会議室などを含めたオフィス全体の広さの目安を1人あたり2.5〜3.5坪としています。詳しくはオフィス面積と人数の目安を、通路の幅の決まりはオフィス通路幅の基準をご覧ください。

何人で計算するか

条文は「労働者を常時就業させる室」について「労働者一人について」10立方メートル以上としています。出社する人数が日によって変わる場合に、どの人数で数えるかまでは条文に書かれていません。判断に迷うときは、所轄の労働基準監督署に確かめてください。

換気と空気の質の基準

3条1項は、窓その他の開口部のうち、直接外気に向かって開けられる部分の面積を、常に床面積の20分の1以上にするよう定めています。換気が十分に行われる性能をもつ設備を設けていれば、この限りではありません。同条2項では、部屋の空気に含まれる一酸化炭素を100万分の50以下、二酸化炭素を100万分の5,000以下にすることを求めています。

空調設備や機械換気設備を設けている場合は、部屋に送る空気について、より細かい基準があります(5条1項・2項)。

項目基準
浮遊粉じん1立方メートルあたり
0.15ミリグラム以下
一酸化炭素100万分の10以下
二酸化炭素100万分の1,000以下
ホルム
アルデヒド
1立方メートルあたり
0.1ミリグラム以下
気流毎秒0.5メートル以下

一酸化炭素は、外気が汚れていて100万分の10以下の空気を送るのが難しい場合、100万分の20以下とされています。また、空調や換気設備から出る空気が、特定の人に直接、続けて当たらないようにすることも求められています(5条2項)。

窓が開かないビルでも、換気設備があれば3条1項の条件は満たせます。借りる前には、窓が開くか、空調と換気がビル全体でまとめて管理される方式か、区画ごとに操作できる方式かを確かめておくと、入居後の換気や温度の調整の考え方がわかります。

室温と湿度の基準

4条は、部屋の気温が10度以下のときに暖房などで温度を調節すること、冷房するときは外気温より著しく低くしないことを定めています。

空調設備を設けている場合は、室温を18度以上28度以下、相対湿度を40%以上70%以下にするよう努めることとされています(5条3項)。これは努力義務です。室温の下限は、2022年4月1日の改正で17度から18度に引き上げられました。

賃貸オフィスでは、ビルによって空調の動く時間が決まっていて、夜間や休日に使うと追加の費用がかかることがあります。残業や休日の出社が多い会社は、空調の運転時間と、時間外に使うときの費用を契約の前に確かめておくと安心です。

照明の明るさの基準

10条1項は、作業面の照度を、一般的な事務作業では300ルクス以上、付随的な事務作業では150ルクス以上にするよう定めています。付随的な事務作業とは、資料の袋詰めのように、文字を読み込んだり資料を細かく見分けたりする必要のない作業のことです。

この基準は2022年12月1日の改正で変わりました。それまでは、精密な作業300ルクス以上、普通の作業150ルクス以上、粗な作業70ルクス以上の3区分でしたが、2区分になり、ふだんの事務作業に求められる明るさが引き上げられました。

同条2項は、明暗の差が著しくなく、まぶしさを生じない方法で採光・照明することを、3項は照明設備を6か月以内ごとに1回、定期に点検することを求めています。厚生労働省のリーフレットでは、個々の作業に合った照度は、日本産業規格 JIS Z 9110 の推奨照度などを参考に、事業場ごとに定めるよう勧めています。

照明を入居工事で入れ替える場合は、その工事をビル側と自社のどちらが手配し、費用を持つかも決めておく必要があります。工事の区分の考え方はA工事・B工事・C工事の違いで扱っています。

トイレの数の基準

17条は、便所を男性用と女性用に区別したうえで、同時に就業する人数に応じて、次の数以上を設けるよう定めています。

種類必要な数
男性用
大便所
男性60人以内
ごとに1つ
男性用
小便所
男性30人以内
ごとに1つ
女性用
便所
女性20人以内
ごとに1つ

2021年12月1日の改正で、男女の区別がなく、四方を壁などで囲まれた1つの便房からなる「独立個室型の便所」が規則に位置づけられました。同時に就業する人が常時10人以内の場合は、独立個室型の便所を設けることで足ります(17条の2第1項)。男女別の便所に加えて独立個室型の便所を設けた場合は、必要数を数えるときの人数を、独立個室型の便所1つにつき男女それぞれ10人ずつ減らせます(同条2項)。厚生労働省の例では、男性65人・女性65人の職場で独立個室型の便所を1つ設けると、男性用大便所は2つから1つに、男性用小便所は3か所から2か所になります。

厚生労働省は、10人以内の例外について、建物の構造などの理由でやむを得ない場合などを想定したもので、すでにある男女別の便所をなくすことはできないとしています。また、従来の基準を満たす便所を設けていれば、変える必要はないとしています。

賃貸オフィスでは、トイレがフロアの共用部分にあり、同じ階の他のテナントと一緒に使うこともあります。専用か共用か、共用なら何社で使っているかを、内見のときに確かめておくと安心です。

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休養室と休憩の設備の基準

常時50人以上、または常時女性30人以上の労働者を使う事業者は、横になって休める休養室か休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければなりません(21条)。体調を崩した人が一時的に横になって休むための場所です。

一方、休憩のための設備は、設けるよう努めることとされている努力義務です(19条)。休養室と休憩の設備は、条文の上で別のものとして書き分けられています。夜間に睡眠を取らせる必要があるときや、仕事の途中で仮眠できる機会があるときは、睡眠や仮眠の場所を男性用と女性用に区別して設けなければなりません(20条)。

社員が50人に近づいてきた会社は、移転先に休養室を置ける広さがあるかを、レイアウトを考える段階で見込んでおく必要があります。

そのほかの主な基準

ほかにも、洗面設備を設けること(18条)、飲み水などを十分に用意すること(13条)、ガスストーブなどの燃焼器具を使う場所に換気の設備を設けること(6条)、けがの手当てに必要な救急用具と材料を備えること(23条)が定められています。救急用具は、2021年12月1日の改正で備える品目の具体的な定めがなくなり、職場で起こりうるけがなどに応じて備えるよう運用が見直されました。

オフィスを借りる前に確かめたいこと

事務所衛生基準規則の基準のうち、借りる物件の条件で決まってしまうものを、物件を比べる段階で確かめておきます。

床面積と天井高

床面積と天井高がわかれば、気積の基準で入れる人数の上限を出せます。今の人数だけでなく、契約期間のうちに増える人数も含めて計算しておくと、途中で手狭になるのを防げます。家具付きのセットアップオフィスでは、置かれている机の数と自社の人数が合っているかも確かめます。

窓、換気、空調の方式と運転時間

開けられる窓があるか、換気設備があるか、空調がビル全体で管理される方式か区画ごとに操作できる方式かを確かめます。ビル全体で管理される方式の場合は、平日の運転時間と、夜間・休日に使うときの手続きと費用も聞いておきます。

照明

今ついている照明をそのまま使うのか、入居工事で入れ替えるのかを決めます。入居後は、照度計で机の上などの作業面を測ると、300ルクスの基準を満たしているかを確かめられます。

トイレの数と使い方

専用のトイレか、フロアの共用か。共用なら数と、使う会社の数を確かめます。人数が10人を超えて増える見込みがある会社は、男女別の数も見ておきます。

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よくある質問

Q. 事務所衛生基準規則は、どんなオフィスに適用されますか?

建築物またはその一部で、事務作業に従事する労働者が主として使用する「事務所」に適用されます(1条)。自社ビルでも賃貸オフィスでも同じです。基準を守る立場にあるのは、そこで労働者を働かせる会社(事業者)です。

Q. 20坪で天井高2.6メートルのオフィスには、何人まで入れますか?

気積の基準(1人10立方メートル)だけで見ると、机や棚などの設備の容積を引く前で17人です。実際には机や通路、会議室が要るため、もっと少なくなります。GOの目安(会議室などを含めて1人2.5〜3.5坪)で考えると、20坪は6〜8人ほどです。

Q. 室温が28度を超えたら違反になりますか?

空調設備がある場合の室温18〜28度、湿度40〜70%は、そうなるよう努めることとされた努力義務です(5条3項)。ただし、気温が10度以下のときに暖房などの措置をとること、冷房で外気温より著しく低くしないことは、4条で定められています。

Q. 社員が10人以下なら、トイレは男女共用でもよいですか?

同時に就業する人が常時10人以内なら、男女の区別がない独立個室型の便所を設けることで足ります(17条の2第1項)。厚生労働省は、建物の構造などの理由でやむを得ない場合などを想定したもので、すでにある男女別の便所をなくすことはできないとしています。

Q. 休憩室は必ず設けなければいけませんか?

休憩の設備は、設けるよう努めることとされた努力義務です(19条)。これとは別に、常時50人以上、または常時女性30人以上の労働者を使う場合は、横になって休める休養室か休養所を男女別に設ける義務があります(21条)。

Q. 照明の明るさの基準は、いつから変わりましたか?

2022年12月1日からです。一般的な事務作業は300ルクス以上、資料の袋詰めのような付随的な事務作業は150ルクス以上になりました(10条1項)。それ以前は、精密な作業300ルクス、普通の作業150ルクス、粗な作業70ルクスの3区分でした。

まとめ

事務所衛生基準規則は、オフィスで人を働かせる会社が守る最低限の衛生の基準です。1人10立方メートルの気積、開けられる窓の面積か換気設備、空調がある場合の室温18〜28度(努力義務)、一般的な事務作業で300ルクスの照明、人数に応じたトイレの数、常時50人以上などでの休養室が主な内容です。

賃貸オフィスでは、天井高や窓、空調、トイレのようにビルの設備で決まる項目が多く、契約してから直すのは簡単ではありません。物件を比べる段階で、床面積と天井高から入れる人数の上限を出し、空調の方式と運転時間、トイレの数と使い方を確かめておくと、入居後に困ることを減らせます。

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