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賃貸オフィスの内装工事の耐用年数と勘定科目|減価償却のしかた、少額資産と修繕費の分け方

Growth Office編集部
賃貸オフィスの内装工事の耐用年数と勘定科目|減価償却のしかた、少額資産と修繕費の分け方

賃貸オフィスに入居するときに、自社の費用で内装や設備の工事をすることがあります。借りている建物にした工事でも、その費用はいっぺんに経費にできるとは限らず、耐用年数に応じて何年かに分けて費用にしていくのが原則です。

この記事では、賃貸オフィスの内装工事の会計処理について、耐用年数の決め方、工事の中身ごとの区分と法定耐用年数、10万円・20万円・40万円の少額の扱い、修繕費と資本的支出の分け方、入居と退去のときのほかの費用の扱いを、国税庁の通達と法令をもとにまとめます。実際の処理は会社ごとの事情で変わるので、決算の前には顧問の税理士に確かめてください。

借りたオフィスの内装工事は、耐用年数で費用にする

自社で費用を出した内装工事は、減価償却資産として、耐用年数に応じて毎年少しずつ費用(損金)にしていきます。借りている建物にした工事は、国税庁の「耐用年数の適用等に関する取扱通達」1-1-3で扱いが決まっています。

建物についてした内装は「合理的に見積もった年数」

借りた建物に自社でした造作(内装)のうち、建物についてした造作は、その建物の耐用年数、造作の種類、用途、使用材質などを考えて合理的に見積もった耐用年数で償却します。建物附属設備についてした造作は、建物附属設備の耐用年数で償却します(1-1-3)。同じ建物にした造作は、全部をひとつの資産として扱い、耐用年数も造作全部を総合して見積もります。

賃借期間を耐用年数にできる場合

建物の賃借期間の定めがあり、その期間を更新できず、かつ有益費の請求も買取請求もできない場合は、その賃借期間を耐用年数として償却できます(1-1-3ただし書)。更新できる契約や、有益費の請求・買取請求ができる契約では、この扱いは使えず、合理的に見積もった年数で償却します。契約書で、期間の定め、更新の可否、有益費や造作の買取請求についての定めを確かめておきます。

償却の方法は定額法

2007年4月1日以後に取得した建物と、2016年4月1日以後に取得した建物附属設備の償却方法は、定額法だけです(法人税法施行令48条の2)。これから入居するオフィスの内装工事は、建物についてした内装として扱う場合も、建物附属設備として扱う場合も、定額法で毎年同じ額を費用にしていきます。

工事の中身ごとの区分と法定耐用年数

内装工事の見積書には、壁や床の仕上げ、電気や照明、空調、間仕切り、家具などが混ざっています。区分によって耐用年数が変わるので、見積書の項目を分けておくと処理しやすくなります。

工事や物の例区分・
法定耐用年数
電気設備
(照明を含む)
建物附属設備
15年
給排水・
衛生設備
建物附属設備
15年
冷暖房設備
(冷凍機の出力
22kW以下)
建物附属設備
13年
消火・排煙・
災害報知設備
建物附属設備
8年
可動間仕切り
(簡易なもの)
建物附属設備
3年
可動間仕切り
(その他)
建物附属設備
15年
事務机・いす・
キャビネット
器具及び備品
金属製15年
その他8年

出典:減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一、耐用年数の適用等に関する取扱通達

間仕切りは「動かせるか」で変わる

「可動間仕切り」は、事務室などを仕切るために取り付ける資材のうち、取り外して他の場所で再使用できるパネル式やスタッド式などのものです。そのうち、材質や構造が簡易で、容易に撤去できるものが「簡易なもの」(3年)です。会議室などのアコーディオンドアやスライディングドアのように、移設して再使用する構造でないものは、可動間仕切りに当たりません(耐用年数通達)。取り外して再使用できない間仕切りは、借りた建物なら、建物についてした内装として合理的に見積もった年数で償却することになります。

エアコンは、ダクトの有無で変わる

パッケージ型のエアコンでも、ダクトを通じて相当広い範囲を冷房するものは、器具及び備品の冷房用機器ではなく、建物附属設備の冷房設備に当たるとされています(耐用年数通達)。空調の工事をするときは、機器の種類と取り付け方も見積書で分けておきます。

少額の資産の扱い(10万円・20万円・40万円)

机や椅子、照明器具のように、1つずつの取得価額が小さいものは、耐用年数で償却せずに済む扱いがあります。

10万円未満は、その年度に全額を費用にできる

取得価額が10万円未満(または使用可能期間が1年未満)の減価償却資産は、事業に使い始めた年度に損金経理をすれば、全額をその年度の損金にできます(法人税法施行令133条)。

20万円未満は、3年で均等に費用にできる

取得価額が20万円未満の減価償却資産は、まとめて「一括償却資産」とし、取得価額の合計額を36で割り、その年度の月数を掛けた額ずつ損金にできます(法人税法施行令133条の2)。12か月の事業年度なら、3年間、毎年3分の1ずつです。

中小企業者等は、40万円未満まで全額を費用にできる

中小企業者等が取得した取得価額40万円未満の減価償却資産は、損金経理をすれば、年度の合計300万円までを全額その年度の損金にできます(租税特別措置法67条の5)。2026年度(令和8年度)の税制改正で、2026年4月1日以後に取得したものから、基準が30万円未満から40万円未満に引き上げられ、期限は2029年3月31日までに延びました。あわせて、対象は常時使用する従業員が400人以下の法人(特定法人は300人以下)になりました。

2026年9月29日時点で、国税庁のタックスアンサー(No.5408)には改正前の「30万円未満」「従業員500人以下」の内容が残っています。2026年4月1日以後に取得した資産は、改正後の条文に沿って判断します。

取得価額ごとの少額の資産の扱い(2026年4月1日以後に取得したもの)。10万円未満はその年度に全額を損金、20万円未満は3年で均等に損金(一括償却資産)、40万円未満は中小企業者等なら年度の合計300万円までその年度に全額を損金(2029年3月31日まで)、それ以上は耐用年数で減価償却

修繕費か、資本的支出か

入居してから行う工事では、その費用が修繕費(その年度の費用)になるか、資本的支出(資産として償却)になるかを分けます。

固定資産の使える期間を延ばしたり、価値を高めたりする部分は資本的支出で、その年度の損金にはなりません。用途を変えるための模様替えなど、改造や改装に直接かかった費用は、資本的支出の例として挙げられています(法人税基本通達7-8-1)。通常の維持管理や、壊れた部分を元に戻すための費用は修繕費です(7-8-2)。

1つの計画で同じ資産に行う修理や改良の費用が20万円に満たないとき、またはおおむね3年以内の周期で行われることが明らかなときは、修繕費として処理できます(7-8-3)。どちらか明らかでない金額は、60万円に満たないとき、またはその資産の前期末の取得価額のおおむね10%以下のときは、修繕費として処理できます(7-8-4)。

入居と退去のときの、ほかの費用

権利金などは繰延資産、仲介手数料はその年度の費用

建物を借りるために支出する権利金、立退料その他の費用は、繰延資産です(法人税基本通達8-1-5)。償却期間は原則5年で、支出額が20万円未満なら、支出した年度に全額を損金にできます。建物を借りるときに不動産会社に払った仲介手数料は、支払った年度の損金にできます。敷金のように退去のときに返ってくるお金は、費用ではありません。

退去のときの原状回復費用

退去のときに、預けている保証金から原状回復工事の費用が差し引かれる場合、その費用は、貸主から借主への役務の提供の対価として、消費税の課税対象になるとされています(国税庁の質疑応答事例)。法人税での扱いを含め、実際の処理は契約の内容によるので、税理士に確かめてください。原状回復の費用の目安はオフィスの原状回復費用の相場で扱っています。

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内装工事をしないという選択肢

内装と家具を貸主が用意するセットアップオフィスでは、自社で内装工事の費用を出さないので、この記事で説明した内装の減価償却は生じません。支払うのは主に賃料です。入居の工事の手間や、償却の管理を減らしたい会社は、セットアップオフィスも候補に入れて比べてみてください(セットアップオフィスとは、東京のセットアップオフィス一覧)。内装工事の費用そのものの目安はオフィス内装工事の費用相場にまとめています。

勘定科目の名前について

勘定科目の名前そのものは、法令や国税庁の通達で決められているわけではありません。国税庁の資料では、「建物」「建物附属設備」「器具及び備品」「繰延資産」「修繕費」「資本的支出」といった区分で扱われているので、会社の科目の体系をこの区分に対応させておくと、申告のときに困りません。

よくある質問

Q. 賃貸オフィスの内装工事の耐用年数は何年ですか?

建物についてした内装は、決まった年数ではなく、その建物の耐用年数や内装の種類、用途、使用材質などを考えて合理的に見積もった年数です。電気設備や給排水設備などの建物附属設備についてした工事は、建物附属設備の法定耐用年数(多くは15年)です(耐用年数の適用等に関する取扱通達1-1-3)。

Q. 賃借期間で償却できますか?

賃借期間の定めがあって更新できず、かつ有益費の請求も買取請求もできない場合に限り、賃借期間を耐用年数にできます。更新できる契約では使えません。

Q. 内装工事の費用は、一括で経費にできますか?

原則は耐用年数で償却します。ただし、1つずつの取得価額が10万円未満なら全額、20万円未満なら3年で均等に、中小企業者等なら40万円未満(2026年4月1日以後の取得分、年度の合計300万円まで)なら全額を、その年度の損金にできます。

Q. パーテーションの耐用年数は何年ですか?

取り外して他の場所で再使用できるパネル式などの可動間仕切りは、簡易なものが3年、その他が15年です。移設して再使用する構造でないものは可動間仕切りに当たらず、借りた建物なら内装として合理的に見積もった年数で償却します。

Q. オフィスを借りるときの仲介手数料は、どう処理しますか?

支払った年度の損金にできます。建物を借りるための権利金などは繰延資産で、原則5年で償却し、20万円未満ならその年度の損金にできます。

まとめ

賃貸オフィスの内装工事は、建物についてした内装なら合理的に見積もった年数、建物附属設備についてした工事ならその法定耐用年数で、定額法で償却するのが原則です。更新できない定期の契約などでは、賃借期間で償却できる場合があります。

見積書の項目を、建物についてした内装、建物附属設備、器具及び備品に分けておくと、耐用年数を当てはめやすくなります。1つずつの金額が小さいものは、10万円・20万円・40万円(中小企業者等)の少額の扱いを使えます。2026年4月1日以後に取得したものは、改正後の40万円未満の基準で判断します。

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