MEDIAメディア
コラム

オフィスのパーテーション(間仕切り)工事で確かめること|消防の届出と設備、ビルの承諾、原状回復

Growth Office編集部
オフィスのパーテーション(間仕切り)工事で確かめること|消防の届出と設備、ビルの承諾、原状回復

オフィスに会議室や個室をつくるとき、よく使われるのがパーテーション(間仕切り)です。ただ、間仕切りを立てる工事は、机や棚を動かすのとは違い、消防の届出や設備、建築の決まり、ビルとの契約がかかわります。特に、天井まで届く間仕切りか、天井に届かない低い間仕切りかで、確かめることが大きく変わります。

この記事では、東京消防庁の管内の基準を中心に、パーテーションの工事で要る消防の届出、スプリンクラーと火災報知器への影響、建築基準法の換気と排煙、ビルの承諾と工事の区分、退去のときの原状回復まで、工事の前に確かめておきたいことをまとめます。

天井まで届く間仕切りと、届かない間仕切り

間仕切りには、天井まで届いて部屋を完全に区切るものと、天井との間にすき間が残る低いもの(ローパーテーション)があります。天井まで届く間仕切りで区切ると、区切った部屋はそれぞれ別の部屋として扱われ、消防用の設備や換気が部屋ごとに足りているかを確かめる必要が出てきます。

天井まで届く間仕切りと、届かない間仕切りの違いを横から見た図。天井まで届く間仕切りで区切った部屋は、スプリンクラーのヘッドまでの水平距離(耐火建築物で2.3メートル以下)や火災報知器の感知区域を部屋ごとに満たす必要があり、東京消防庁の管内では工事の着手の7日前までに工事等計画届が要る。天井に届かない間仕切りは届出が要らないが、上端がスプリンクラーのヘッドの下方0.45メートル・水平0.3メートル以内(散水障害の範囲)に入ってはいけない
確かめる
こと
天井まで
届く
天井に
届かない
工事等
計画届
要る要らない
スプリン
クラー
各部屋に
足りるか
散水の邪魔
をしないか
火災
報知器
各部屋に
要る
上のすき間
しだい

工事等計画届は、東京消防庁の管内の場合です。

東京消防庁の管内で要る届出

天井まで届く間仕切りは、工事等計画届

東京消防庁の管内では、一定の建物(指定防火対象物等)で間取りを変える工事などをしようとする人は、工事に着手する日の7日前までに、防火対象物工事等計画届出書を消防署に出さなければなりません(東京都火災予防条例56条)。東京消防庁は、室内の間仕切り壁の変更に係る工事もこれに含まれるとし、天井に達しない間仕切り(ローパーテーションなど)を設置する場合は届出の必要はないとしています。

届出者は、工事業者などに工事を依頼した人です。平面図や室内仕上表、建具表などを添えて、建物を管轄する消防署に出します。建築確認の手続きが要る工事の場合は、この届出は要りません。

設備の工事が伴うときの届出

間仕切りに合わせてスプリンクラーのヘッドや火災報知器の感知器を増やしたり移したりするときは、工事を担当する甲種消防設備士が着手の10日前までに着工届を出し、工事が終わったら4日以内に設置届を出して検査を受けます。届出の全体とスケジュールの組み方は防火対象物使用開始届と、オフィスの入居・内装工事で消防に出す届出にまとめています。

スプリンクラーへの影響

区切った部屋にもヘッドが届く必要がある

スプリンクラーのヘッドは、天井の各部分から1つのヘッドまでの水平距離が、耐火建築物なら2.3メートル以下になるように設けます(消防法施行令12条2項2号)。天井まで届く間仕切りで部屋を区切ると、区切ったそれぞれの部屋の天井がこの距離に収まっている必要があります。東京消防庁も、修繕や模様替えに伴う間仕切り壁の変更で、ヘッドまでの水平距離を超える部分が生じる場合があるとしています。収まらない部分ができるなら、ヘッドを増やすか移す工事が要ります。

ヘッドの下には物を置けない(散水障害)

ヘッドのデフレクター(水を散らす部分)から下方0.45メートル以内で、かつ水平方向0.3メートル以内には、何も設けたり置いたりしてはいけません(消防法施行規則13条の2第4項第1号ホ)。燃えやすい物を収納する部分では下方0.9メートルですが、東京消防庁の基準では、書類や本はこの燃えやすい物に含めないとしているので、一般の事務室なら0.45メートルで考えます。天井に届かない間仕切りでも、上端がこの範囲に入ると、この決まりに合わなくなります。背の高い棚を置くときも同じです。

カーテンで仕切る場合

東京消防庁の基準では、アコーディオンカーテンなどで仕切る場合は仕切りごとにヘッドを設け、簡易的なカーテンなら仕切りごとには要らないとされています。

火災報知器(感知器)への影響

自動火災報知設備の感知器は、「感知区域」ごとに、決められた床面積につき1個以上設けます(消防法施行規則23条4項)。感知区域とは、壁や、天井から0.4メートル(煙感知器などは0.6メートル)以上突き出たはりなどで区画された部分です。天井まで届く間仕切りで部屋を区切ると新しい感知区域ができるので、その部屋にも感知器が要るのが原則です。

東京消防庁の基準では、天井まで届かない間仕切りでも、上部に決められた大きさのすき間があれば、一方の区域の感知器で隣の区域の火災も有効に感知するものとして扱えます。たとえば煙感知器なら、間仕切りの上方に高さ0.2メートル以上・幅1.8メートル以上の空気が通るすき間を設け、分けられた区域の一方に煙感知器があれば足ります。熱感知器にも、床面積70平方メートル以下の区域などの条件があります。簡易的なカーテンで仕切った部分は、別の感知区域として扱いません。

誘導灯への影響

事務所だけのビルでは、避難口誘導灯と通路誘導灯は、地階、窓のない階、11階以上の部分に設ける決まりです(消防法施行令26条)。飲食店や店舗が入るビルでは、建物全体が対象になります。

誘導灯が要る階では、区切った部屋から廊下や通路に出る出入口にも、避難口誘導灯を設けるのが原則です(消防法施行規則28条の3)。ただし、部屋の中のどこからでも出入口を見通せて見分けられ、床面積が100平方メートル以下(社員などが主に使う部屋は400平方メートル以下)の部屋の出入口には要りません(消防庁告示)。間仕切りで出入口が見えにくくなると、誘導灯を足す必要が出ることもあります。

敷金半額くん(全国どのオフィスも敷金0円に?)

建築基準法でかかわる決まり

事務所は「防火上主要な間仕切壁」の対象外

建築基準法施行令114条2項は、学校や病院、ホテル、寄宿舎などで、防火上主要な間仕切壁を準耐火構造にして天井裏まで届かせることを求めていますが、事務所はこの対象に入っていません。

区切った部屋の換気と排煙

人が継続して使う部屋(居室)には、換気に有効な窓などの開口部を床面積の20分の1以上設けるか、決まりに合う換気設備を設けます(建築基準法28条2項)。ふすまや障子のように随時開けられるもので仕切った2室は1室とみなされますが、固定の間仕切りで窓のない部屋をつくると、その部屋だけで換気の条件を満たす必要があります。

また、階数が3以上で延べ面積が500平方メートルを超える建物などの居室や、窓などの開口部が少ない居室には、排煙の設備が求められます(建築基準法施行令126条の2)。窓に面していない内側の会議室をつくるときは、換気と排煙の条件を満たすかを設計者に確かめてください。事務所衛生基準規則でも、換気と照明の基準は部屋ごとにかかります(事務所衛生基準規則の解説)。

ビルの承諾、工事の区分、原状回復

工事の前に、契約書と工事の区分を確かめる

借りた人は、契約で決めた使い方に従って物件を使う義務があります(民法616条で準用する594条)。日本ビルヂング協会連合会が公開しているオフィスビルの標準契約書の雛型(2026年2月更新)では、造作や設備の新設・変更には事前に貸主の承諾が要り、工事の施工者は貸主が指定し、費用は借主が負担するとされています。間仕切りを立てる前に、自社の契約書で同じような定めがないかを確かめ、承諾の手続きを取ります。東京の火災予防条例も、ビルの所有者に、工事をする人に届出を適正に行うよう求める努力義務を課しています(56条4項)。

どの工事をビル側の指定する業者が行い、費用をどちらが持つかの考え方は、A工事・B工事・C工事の違いで扱っています。

退去のときの原状回復

民法は、借りた人が、借りた後に付けた物を、契約が終わったときに取り外す義務を負うとしています(622条で準用する599条)。先の標準契約書の雛型でも、借主が自分の費用で付けた造作や設備を撤去し、入居したときの状態に戻して明け渡すとされています。自社で立てた間仕切りは、退去のときに撤去して元に戻すのが原則です。撤去の範囲と費用は契約で決まるので、工事の前に確かめておくと、退去のときの負担を見通せます(オフィスの原状回復費用の相場)。

工事の前に確かめる順番

1. 天井まで届かせるかを決める

会議の声を外に漏らしたくない、来客の目線を遮りたいといった目的によって、天井まで届く間仕切りが要るのか、天井に届かない間仕切りで足りるのかを決めます。届かない間仕切りなら、届出や設備の工事が要らないことが多く、退去のときの撤去も軽く済みます。

2. 契約書と工事の区分を確かめる

貸主の承諾の手続き、指定業者の有無、費用の負担、退去のときの扱いを確かめます。

3. 消防と建築の決まりを設計に反映する

スプリンクラーのヘッドと感知器の位置、誘導灯の要否、換気と排煙を、図面で確かめます。設備の追加が要るなら、消防設備の業者の手配と、届出のスケジュールを入居の日程に組み込みます。

レイアウト全体の考え方はオフィスレイアウトの決め方で、間仕切りの工事が要らない家具付きのオフィスは東京のセットアップオフィス一覧で探せます。

よくある質問

Q. パーテーションを置くだけでも、消防への届出は要りますか?

東京消防庁は、天井に達しない間仕切り(ローパーテーションなど)を設置する場合は、防火対象物工事等計画届の必要はないとしています。天井まで届く間仕切りで部屋を区切る工事なら、着手の7日前までに届出が要ります。

Q. 散水障害とは何ですか?

スプリンクラーのヘッドから散る水が、物にさえぎられて届かなくなることです。ヘッドのデフレクターから下方0.45メートル以内で、かつ水平方向0.3メートル以内には、何も設けたり置いたりしてはいけないと定められています(消防法施行規則13条の2第4項第1号ホ)。

Q. 会議室をつくると、火災報知器を増やす必要がありますか?

天井まで届く間仕切りで区切ると新しい感知区域ができるので、その部屋にも感知器が要るのが原則です。東京消防庁の基準では、間仕切りの上部に決められた大きさのすき間があれば、一方の区域の感知器で足りるものとして扱える場合があります。

Q. 間仕切りの工事に、ビルの許可は要りますか?

工事そのものに承諾を求める法律の条文はありませんが、借りた人は契約で決めた使い方に従う義務があります。日本ビルヂング協会連合会のオフィスビルの標準契約書の雛型でも、造作や設備の新設・変更には事前に貸主の承諾が要るとされています。工事の前に自社の契約書を確かめてください。

Q. 退去のときに間仕切りは撤去しますか?

民法は、借りた後に付けた物は、契約が終わったときに取り外す義務があるとしています(622条で準用する599条)。自社で立てた間仕切りは撤去するのが原則で、範囲と費用は契約で決まります。

まとめ

パーテーションの工事では、天井まで届く間仕切りか、届かない間仕切りかで、確かめることが大きく変わります。天井まで届く間仕切りで区切ると、東京消防庁の管内では工事の7日前までに工事等計画届が要り、区切った部屋ごとにスプリンクラーのヘッドや感知器、換気と排煙の条件を満たす必要が出ます。天井に届かない間仕切りなら届出は要りませんが、上端がスプリンクラーのヘッドの下方0.45メートル・水平0.3メートル以内に入らないようにします。

工事の前に、契約書で貸主の承諾と工事の区分、退去のときの扱いを確かめ、消防と建築の決まりを図面に反映しておくと、入居の日程に間に合わせやすく、退去のときの負担も見通せます。

東京都 4,526 区画が募集中

理想のオフィス、そろそろ探しませんか?

敷金0円・セットアップ・即入居可の物件まで。ご希望の条件を伝えるだけで、Growth Officeが最適なオフィスをご提案します。ご相談は無料です。

敷金半額くん(全国どのオフィスも敷金0円に?)